なみなみ通信Vol.11


海況情報

 有明海では平年よりやや高めでしたが、筑前海、豊前海では平年並みで推移しました。


カタクチイワシの漁況

 餌となるコペポーダ等(カイアシ類と呼ばれる動物性のプランクトン)は、福岡湾口、西浦沖、 福吉沖では徐々に増加しました。加布里湾では、比較的量が少ない傾向がみられ、12月からさらに 減少しています。福岡湾奥は、10月上旬まで増加しましたがその後減少しています。
 昨年12月12日に実施した計量魚探による調査結果では、魚群の分布は福岡湾央部や唐津湾鷺の首周辺に 集中して濃密な反応がみられました。福岡湾では、断続的に魚群反応が観測され、濃密な魚群の反応を 観測したところもありました。福岡湾・唐津湾とも11月に比較して濃密な魚群が形成されていました。 漁獲状況は12月から順調に推移しています。

衛星による水温分布と魚群反応(平成13年12月12日)

(研究部漁業資源課)


放流アワビの混獲率上昇で漁獲アップに期待

 殻長3cmで放流したクロアワビは、標識放流結果から、放流翌年5cm、2年後8cm、 3年後10cm程度に成長します。平成7年度に生産されたクロアワビは8年の3〜4月頃放流され、 放流3年後の11年度漁期から漁獲に加わり、14年度までの約4年間程度漁獲されます。従って、 平成13年度は8〜10年に放流した3ヶ年のクロアワビが漁獲対象サイズに成長し、漁獲に加わって きているということになります。大島における年度別放流アワビの混獲率では、平成5年までは 10〜30%あった混獲率が徐々に減少し、8〜9年にかけて放流クロアワビはほとんど見られません でした。しかし、10年度には8年に放流したクロアワビのうち成長のはやい群から徐々に漁獲され はじめ、13年度には15.8%まで上昇してきました。14年度以降は安定して放流クロアワビが漁獲 されます。

(研究部浅海増殖課)


今が旬「豊前海一粒かき」の作柄

 養殖開始(コレクター垂下)は昨年の2〜4月にかけて各地で行われました。育成期間はイガイや フジツボなど餌料競合生物の付着が少なかったため成長や身入りが良好で、またカキのへい死や台風等に よる脱落も少なく、更に各種衛生検査結果についても全く問題ない等、極めて順調に経過しました。
 収穫は早いところで10月中旬から始まりました。当初は暖冬のせいか、注文の出足は若干鈍い 状況でした。水温の低下とともに身入りもますます良くなりっており、おいしい「豊前海一粒かき」をぜひ ご賞味下さい。
 なお、椎田町漁協や西八田漁協でも新たに着業したため、豊前海沿海の全市町村において「豊前海一粒かき」が 生産されることになります。今後、これら新規着業組合の養殖技術向上をご期待下さい。

(豊前海研究所浅海増殖課)

カキ収穫作業


有明海のり養殖経過(12月中旬まで)

 採苗は有明4県でほぼ統一した10月4日でした。採苗はとくに問題はなかったのですが、その後の 経過は必ずしも順調ではなく、育苗期の10月中旬に低比重(109ミリの降雨)による河口漁場での芽いたみ、 10月下旬には高水温(平年より2℃高め)による沖の漁場での芽の脱落が発生しました。生産期には あかぐされ病が11月8日と23日の小潮時に病勢を増しました。また、キートセロスを主体とした珪藻赤潮が 11月16日から発生し、栄養塩の減少によるノリの色落ちが沖の漁場で11月下旬にみられました。このように 生産の危ぶまれる局面は多かったのですが、生産者のみなさんのタイムリーな摘採と網管理、とくにあかぐされ 病対策としての高張り管理などの努力と時化などの海況の好転で、秋芽生産は12月9日の網あげまで 維持されました。生産結果は、平成元年以来、量的には平成6年(5.4億枚)に次いで2番目、また金額でも 3年(66.4億円)に次いで2番目の作柄でした。
 冷凍網は12月11日から一斉に張り込まれました。海況は良好であり、ノリの生長も順調で18日から 摘採が始まっています。

(有明海研究所のり養殖課)


佐田川の資源を増やすために!

 研究所では各河川の生産力にみあった増殖対策(適正放流手法、保護策など)に役立てるため 1年に1河川の調査を実施しています。本年度は甘木市を流れ筑後川に注ぐ佐田川の調査を、 甘木市漁協の協力の下に実施しています。調査内容は水質、付着藻類、底生生物、魚類相です。 下流部では県のレッドデーターブックで準絶滅危惧(存続基盤が脆弱な種)に指定されているアリアケギバチ、 オヤニラミ、メダカの生息が確認されました。また、中流部の寺内ダムではテナガエビが採捕され、ダム湖内で 再生産している可能性が示唆されました。 しかしながら、寺内ダムや下流部はオオクチバス(ブラックバス)、 ブルーギルの外来魚が多数生息しており、食害等の被害の大きさが懸念されています。 そのため、研究所では 食害魚の駆除に関する調査にも取り組んでいます。また、甘木市漁協でも駆除に努力しており、日本古来の 魚たちを守るため、外来魚の密放流の禁止・キャッチ&イート(釣ったら食べる!)等のご協力をお願いします。

(内水面研究所)



Vol.11 Topへ