なみなみ通信Vol.12


海況情報

 全ての海区で、2月以降高めに推移しています。


イカナゴの漁況

 イカナゴ(カナギ)は北方系の魚で低水温を好み、1、2月にふ化し3月頃(約4cm程度)から 漁獲されます。5,6月には7cm程度になり、水温が20℃以上になると夏眠(6〜11月)し、1年で 約10cmに成長し産卵します。夏の水温が25℃以上になるとへい死の危険性が高くなり、また冬の水温が 14℃以下にならないと成熟、産卵がうまくいきません。 今期の夏の水温が24℃、冬の水温が13℃でイカナゴの親魚の生息や成熟には適した条件となっています。 親魚の分布量は100尾/千?(12月調査)、稚魚分布量は30尾/千?(1月調査)で、ここ2〜3年では 最も多い状況となっています。3月から福岡湾口で房状網が操業され、漁模様も順調な様子で、初漁期 は3〜4cmのシラスが、3月中旬では5cm程度のものが漁獲されています。 センターでは今後とも資源調査を行い、漁業者の皆さんと一体となり資源管理に取り組んでいきます。

(研究部漁業資源課)


初春の漁ーわかめ養殖ー

 筑前海では、福吉、唐泊、志賀島、弘等で養殖されている他、船越や大里等で試験養殖が実施されて います。冬場の安定した漁としてワカメ養殖を営む漁業者が増加してきています。ワカメ養殖は、 購入した中間育成後の種糸を、10月頃、幹縄に捲き付け沖出しします。その後は、成長をまち2月から 3月頃に全長1.5〜2mになったワカメを摘採し、ボイルされ塩蔵ワカメに加工されています。 平成14年度の養殖ワカメの成育は平年並みでしたが、3月に入り一部の漁場で色落ちや先枯れがみられ ています。製品は多くの需要があり、スーパーや百貨店等にも出荷され人気商品となっています。 < 芽付が多い場合の挟み込み方式 > ○種糸の芽付きが多いと成長不良を起こすことがあるため、間引きすることができる挟み込み方式が有効です。 ○挟み込み方式は、種糸を2〜5cm 程度に切り、8mm程度のクレモナロープに20cm間隔に挟み込み(下図参照)   それを幹縄に逆目でまきつけます。 ○ワカメの成育には日照が重要なため、幹縄が水深約1〜2m以内になるように張り込む必要があります。

(研究部浅海増殖課)


水産加工品レシピの紹介

 センターでは漁業者や加工業者等の要望で種々の加工品の試作に取り組んでいます。今回これらの レシピを作りました。下表はこのレシピに記載している加工品の一覧で、レシピには材料・道具、 作り方、特徴、栄養価および取組背景を記載しています。今後もボリューム・内容を充実させて いきたいと考えています。試作の要望やレシピに関してお問い合わせ等ありましたら、研究部 応用技術課までご連絡願います(TEL 092-806-0884)。



有明海のり養殖経過(3月中旬まで)

 12月11日から始められた冷凍網の生産は、栄養塩が十分量あり、ノリの品質低下を起こす壺状菌の 初感染も2月12日と非常に遅かったことから、2月初めまで順調に生産されました。 しかし、2月10日から珪藻プランクトンが増殖を始め、数日後には沖側漁場から色落ちが発生し、 2月末までに順次網を撤去していきました。3月5日から13日にかけて約4割の支柱が撤去され、 その後は河口域を中心に全体の約1割の漁場で生産が続けられています。3月18日現在プランクトンが 減少傾向をみせており、最後の網の張り込み時期を見定めている状況です。 3月中旬までの生産状況は、秋芽網生産の豊作と冷凍網生産の安定もあり、漁期全体として平年作を 越え、生産者の方も前年の大不作からやっと一息つけたところです。

(有明海研究所のり養殖課)


蓄養による漁獲物の出荷調整

 一時的な大量漁獲や旬をはずれた漁獲などに伴う魚価安対策として、現在研究所では出荷調整・ 品質向上を目的とした有用魚種の蓄養試験に取り組んでいます。 その一例として今回取りあげるカミナリイカ(モンコウイカ)は、豊前海で5〜7月頃漁獲される 価値の高い有用種です。1カ月程度の短期間に集中漁獲されるため、市場では極端な魚価安を引き 起こしています。通常イカの飼育は難しいと言われていますが、漁港内の簡易イカダに収容した カミナリイカは、コノシロなどの給餌に早い段階でなじみ、また他のイカのような網による頭部損傷も 比較的少ないことから、商品価値として特に問題はないと判断されました。気になるへい死は4日目 から少しずつみられ、生残率は14日後に80%、30日後に50%を下回りました。 一方、魚市場のkg当たり平均単価は漁期始めの5月上旬で1,000円、盛漁期の6月中旬で500円、 水揚減少期の7月上旬で再び1,000円程度となり、6月中旬からの半月程度の蓄養(生残率80%) であれば、単純計算で1.6倍の収入増が期待できることとなります。 研究所では今後とも他の有用種も含め、年間を通した蓄養出荷の可能性を追求していきたいと考えています。

(豊前海研究所漁業資源課)



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