なみなみ通信vol.16


海況情報

 豊前海区の1月の表層水温はかなり低めでしたが、その他の月や他の海区はほぼ平年並みで推移しています。


有明海4県共同でクルマエビの大量放流開始!

平成12年度から有明海を囲む4県の研究所が協力して進めてきたクルマエビ共同放流推進調査の結果、放流場所(有明海湾奥部と湾央部)の差による効果状況の違いや漁獲傾向などについて明らかになりました。

これらの結果を踏まえ、平成15年度から新たに4県の漁業者(共同放流推進協議会)共同でクルマエビの放流事業が行われます。今までは、福岡県では体長20mm以下の稚エビを中心に約400万尾の種苗放流を行っていましたが、15年度からは体長30mmサイズを4県合わせ湾奥に約500万尾、湾央に約500万尾の計約1,000万尾を初夏に大量放流する予定です。こうした放流種苗の一部に写真のような尾肢切除標識を行い、漁業者が中心となって放流効果などを把握していきます。この標識手法はコストや手間が少なく、底びき網など稚エビを傷つける漁法が少ない有明海では有効な標識です。4県漁業者が協力しながら共同放流を進めていくことで将来の漁獲量アップに寄与できればと期待されています。

(有明海研究所資源増殖課)

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イカナゴ(カナギ)の稚仔魚が大量発生

イカナゴ(カナギ)は北方系の魚で低水温を好み、夏の水温が25℃以上になるとへい死の危険性が高くなります。また、冬の水温が14℃以下にならないと成熟、産卵がうまくいきません。
センターが観測した今期の玄界島付近の底層の夏の最高水温は24.5℃、冬の最低水温は11.9℃でイカナゴの親魚の生息や成熟には適した条件となっています。親魚の分布量は19尾/千uと低めでしたが、14年12月の生殖腺指数は雄で18、雌で15と前年よりも高めの値を示し、成熟は良好であったと考えられます。
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冬場の稚魚分布量は250尾/千mで、昭和62年に稚魚調査を開始して以来、最も多い状況となっていますので、このまま順調に生育すれば本漁期の好漁も期待されます。
 3月から房状網(ぼうじょうあみ、イカナゴを専門にとる漁法)の操業が開始され、上旬は時化が続きましたが、中旬からは順調に漁獲されています。体長は前年同時期と比較してやや小型のようです。センターでは今後とも資源調査を行い、漁業者の皆さんと一体となって資源管理に取り組んでいきます。

(研究部海洋環境課)

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平成14年度有明海のり養殖経過と生産結果

1 養殖経過

@秋芽生産期:漁期前(6月から9月まで)の降水量が平年の60%と異常渇水であったことに加えて、夏季に珪藻プランクトンの増殖が継続したため、漁期直前の栄養塩は5μ g at/lと極端に少ない状況でした。採苗後、栄養塩はいくぶん持ち直し、水温が10月下旬から平年より2、3℃低めに推移したため、あかぐされ病の病勢が弱く、ノリは順調に生産されました。11月末に栄養塩が低下し、大和高田・大牟田沖でノリの色落ちが発生し、12月5日に秋芽生産は終了しました。

A冷凍生産期:冷凍網は12月10日から出庫されました。12月中下旬に細菌性のスミノリ症が発生し、生産枚数と品質が低下しました。特に酸処理をしていない網ではスミノリ症の被害が顕著でした。栄養塩は大きく回復しないまま漸減し、1月上旬にノリの色落ちが大和高田・大牟田沖で始まりました。1月中旬から珪藻プランクトン(リゾソレニアとスケレトネマ)が増殖したことにより、ノリの色落ちはさらに拡大し、1月下旬以降、ノリに色のある漁場は筑後川の河口域に限られました。2月下旬に網の張り替えが河口域の一部で行われ、一時的な色の回復もありましたが、色落ちにより3月末に冷凍生産は終了しました。

2 生産結果

秋芽生産は過去2番目の生産枚数でしたが、冷凍生産はスミノリ症の発生と1月上旬から継続したノリの色落ちによりきわめて不振でした。平成14年度の生産枚数は過去10年の中では平成12年度に次ぐ低調な結果となりました。

        (有明海研究所のり養殖課)

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トゲイカリナマコについて

福岡県豊前海区において、10月頃苅田町漁業協同組合からカニかごにグミのようなものが沢山付着するがこれは何か?とか、小型底びき網漁業者の方から場所によってはこれが網目に詰まって操業が出来ない等の報告があり、直ちに研究所はこのグミ様の生物について調査を行いました。

その結果、グミ様の生物はトゲイカリナマコであることが分かりました。本種は、本州、四国、九州の各地に広く分布し、水深0〜15mまでの砂泥中に生息し、大きさ(長さ)は通常 10cm程度ですが、まれに30cmに達する個体もあり、食用とはしません。

飼育試験の結果、トゲイカリナマコは泥中に生息し、泥表面に一方が凸状に盛り上がったu字型の巣穴(深さ:10p程度)を形成することが分かりました。
トゲイカリナマコはこれまでも底びき網には時々入網していましたので、以前から豊前海に生息していたと考えられ、大量発生した昨年秋頃から、けた網に大量入網するようになったものと考えられます。現在の所、筑前海のグミのように大量爆発的な発生は見られていませんが、ほとんど知見のない本種の生息生態や発生状況について、今後も情報収集や監視を強めていく必要があると考えています。

(豊前海研究所漁業資源課)

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