なみなみ通信Vol.17


海況情報

 海水温について、筑前海区は平年並み、有明海区の5〜6月はやや低め、豊前海区はやや高め基調で推移していたのが6月にはやや低めに転じています。


筑前海のマアジの成熟状況

 日頃食卓で馴染みの深いマアジは、我が国周辺の重要な魚類資源の一つです。回遊性の魚類で毎年の漁獲量の変動が激しく、乱獲を防ぐため全国規模で総漁獲量の規制制度(TAC制度)が設けられ実施されています。
 マアジの研究は資源的に不明な点も多く漁獲量を予測することは非常に難しい課題とされています。この研究課題に取り組むため、水産海洋技術センターでは、長年にわたってまき網等で漁獲されたマアジについていろいろな調査を行っています。
 その結果の一部として、筑前海のマアジの生殖腺成熟度(GSI:生殖巣の体重に占める重量割合)測定から、その年の産卵魚である成熟度4%以上のマアジが最高で32%を占めていることが明らかとなり、筑前海でマアジの産卵が行われている可能性が伺えます。
 成熟度の高いマアジが測定されたのは、特にこの2〜3年、5〜6月の時期に見られています。将来の筑前海マアジ漁業を管理する上で貴重な資料となりますので、今後はさらに注意深く調査に取り組んでいきます。

(研究部漁業資源課)

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筑前海で初めて確認されたプランクトン「円石藻」

5月中旬から6月上旬にかけて筑前海区の沖島周辺海域で、海水が白く濁る現象が見られました。沖で操業する漁業者の方からも、今年は海の色が違うという声が寄せられています。これは円石藻と呼ばれるプランクトンが大量発生したためです。
円石藻とは、石灰質の板(円石)でおおわれた大変小さな植物プランクトンで、魚介類に直接、害を与えることはありません。
一方、このプランクトンは二酸化炭素を吸着し円石として固定するため、地球の温暖化を押さえる役割をしているのではないかと現在世界的に大変注目されています。これまで北大西洋などで本種の発生が知られていましたが、筑前海では初めて確認されました。
この円石藻の学名は Emiliania huxleyiで、短く Ehux(イーハックス)と呼ばれています。

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(研究部海洋環境課)


有明海アサリ資源は回復の兆し

 近年低調であった有明海のアサリ資源が今年は回復傾向にあり、漁場では連日多くの漁船が出てアサリやサルボウを漁獲している姿が見られます。
 今年3月の全域調査により、アサリの推定資源量は昨年の同時期と比べて大幅に増加していることがわかりました。昨年夏の調査で稚貝の大規模な発生が認められた柳川地先の貝が順調に成長、生残したことが主な要因と考えられます。また、昨年ほど高密度ではないものの、柳川から大牟田までの広い範囲でアサリ稚貝の発生が認められました。
 回復しつつある資源を今後も有効に活用していくためには、漁業者自身による殻長制限遵守(殻長3p以下は採捕禁止)などの取り組みが何よりも大切です。

(有明海研究所資源増殖課)

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豊前海の新名産 養殖ワカメが復活!

 八屋漁協と豊前海研究所が共同して、豊前海の新しい養殖としてワカメ養殖試験に取り組みました。延縄式で養殖しましたが、豊前海の透明度の低さを考慮して、養殖水深を通常の1〜2mよりも浅くし、50cmで行いました。
 ワカメは、昭和30年代に一部養殖が試みられたことがありましたが、ノリの養殖が盛況となり、その後全く行われていませんでした。平成14年度は、豊前海では少雨のため栄養塩が少なく、ノリやワカメなどの藻類には生育条件が悪く、葉体は60〜70cmとやや小振りでしたが、約40年ぶりに、豊前海のワカメ養殖が復活しました。
 この春から、豊前市の道の駅「豊前おこしかけ」で、試験的に、豊前海産「八尋浜産(八屋)さしみ若布」として販売され、好評を得ました。豊前海の新しい産業の一つに育つことが、期待されます。

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(豊前海研究所浅海増殖課)


矢部川のアユ資源量を調査しています

 矢部川は質量ともに県内有数のアユの漁場で、ここのアユは眼の縁が黄色みを帯びていることから「金(縁)アユ」と呼ばれています。しかし流域に設けられたいくつかの堰が稚アユの遡上の障害となっているため、漁協では最下流にある瀬高堰で稚アユを採捕し上流部の漁場に移殖しています。
 研究所では平成13年から矢部川のアユの資源動向を把握するため、稚アユの遡上調査や標識放流を行っています。今年の遡上は3月中旬から始まり、3月16日から4月24日までの間に瀬高堰で約3,750s(約90万尾)の稚アユが採捕されて上流部に移殖されました。これは去年、一昨年よりも時期的には遅れぎみですが量的には多く、6月1日の解禁以降の漁模様もまずまずとのことです。
 調査3年目の今年も、瀬高堰で採捕された稚アユ約4万7千尾に研究所で標識(脂鰭切除)を施し、4月9日と10日に松原堰の上流に放流しました。アユ漁期中の漁業者の操業日誌から、放流アユの移動分散や天然の資源量を把握します。また秋以降は産卵場や仔魚の流下状況の調査を行う予定です。

アユ移植量の日別推移(平成13年〜15年)

標識アユの放流(松原堰上流)

 

 

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