なみなみ通信Vol.18


海況情報

 海水温について、筑前海区はほぼ平年並み、有明海区・豊前海区は7〜8月にはやや低めで推移していたのが9月には平年並みとなっています。


マダイ幼魚資源調査を実施しました

 −全長13p未満のマダイの再放流推進を!−


   平成15年7月11日は宗像・粕屋海域、15日は唐津湾海域において1そう吾智網漁船によるマダイ幼魚(ジャミ)調査を行いました。その結果をお知らせします。 
今回の調査では、ジャミの採捕は133尾/網と減少していますので、全長13cm未満のマダイについては再放流を推進していきましょう。また、本年の特徴としては、チダイの幼魚(チコ)が1網あたり123尾と、昨年の16尾と比較して多くみられました。
平成11・12年の本調査では、ジャミの量が極めて少ない結果となり、海域のマダイ資源の減少が心配されましたが、15年漁期前半の漁模様をみると、やはり3・4歳魚等の大型魚の漁獲が思わしくないようです。
次に、13・14年の調査では、平均入網数が過去10年間で最高だった7年と同等以上に回復しており、15年以降の小型魚の資源の増加が見込まれます。

(研究部漁業資源課)

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マダイ幼魚分布量及び漁獲量の動向

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福岡湾におけるクルマエビ稚エビの標識放流

   福岡湾のクルマエビの標識放流は、湾内での移動・成長などの生態や放流効果の調査のため、種苗放流に合わせて行われています。ここ3年間は、漁獲サイズに相当する体長約10pのクルマエビにリボンを装着して放流し、その移動や成長を明らかにしてきました。
今年は、7月に大岳地区から種苗放流サイズ(体長30o)の稚エビ約10万尾に尾肢カット標識をして放流しました。この標識は、これまでの漁獲サイズにしか装着できないリボンと異なり、より小型の種苗放流サイズの稚エビにも標識可能なため、稚エビ段階の移動状況を追跡することが可能です。このエビの再捕から得られた結果を生態や放流効果解明のための資料とし、クルマエビの増殖のために役立てていきたいと考えています。

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(研究部浅海増殖課)


平成15年度有明海のり養殖の基本戦略

   採苗は9月24日の組合長会議で10月5日午前6時出港と決定されました。10月2日現在の海況は、水温は24.2℃、比重は23.5、栄養塩(DIN)は17.6μg・at/lと採苗日に向けて、良好な状況です。
本年度の秋芽生産期と冷凍生産期についての考え方は以下のとおりです。

(1)秋芽生産期

5日からの採苗は、10日までは干潮時間帯が昼から午後3時の時間帯となるため、芽イタミを防ぐため干出は軽めにとり、その後徐々に干出を強めて2時間程度にしていくことが必要です。17日から20日までの小潮期にも十分な干出をとり、アオノリの着生防止と、その後の大潮への移行期(シオグチ)での芽イタミ防止を図ります。
冷凍網入庫は10月28日から11月1日頃、初回摘採は11月3日頃とそれぞれ予想されます。このため、入庫後半の10月31日から11月4日の期間はあかぐされ病の危険期と重なりますので、水温や天候にも大きく左右されますが、この期間の干出強化策が今年度秋芽生産のキーポイントです。この時期をうまく乗り切り、11月15日から18日までの小潮期に再度、網の干出を強化し、11月下旬の網撤去までに最低3回の摘採を目指します。

(2)冷凍生産期
冷凍期のプランクトン発生時期予測が難しいため、冷凍網の出庫は水温が14℃台である12月初旬のシオグチから開始することが重要です。これにより、ノリに十分な干出を与えた後に初回摘採が行われます。水温が高めの時期を有効に使うことが、冷凍生産を安定させる基本です。

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平成15年度の潮周りと養殖スケジュール


 

豊前海における栽培漁業の新たな取り組み(パートU)

  豊前海においては、クルマエビをはじめとする甲殻類を対象に栽培漁業を積極的に展開しています。栽培漁業に関しては、漁業者もその必要性を十分認識し、研究所と協力して更なる放流効果の向上を目指して頑張っています。
クルマエビについては、今期2地区で各2回の中間育成を行いました。漁業者はこの貴重な種苗の放流効果をより高めるために、昨年来実施している「海底放流」方式に加えて、今期2回次分から、豊前・築上地区において宇島漁協青壮年部の発案で、放流種苗の一部を用いて「囲い網放流」方式にも取り組みました。
この「囲い網方式」は、平成元年まで各漁協の地先で行われていた方法ですが、以前とは収容サイズが全く異なり、今回の場合は放流サイズまで一旦中間育成した稚エビを用い、天然海域への馴致を目的に行いました。
 囲い網設置場所は、干潮時でも干上がらないガザミの蓄養施設の一部(約400u)を利用し、平均体長37.2 mmの中間育成稚エビ約70,000尾を用いて8月2日から実施しました。    
                
【飼育経過等】
囲い網による稚エビの馴致飼育では、飼育開始当初から2日後までは、多くの個体が潜砂することなく海底に静止しており、餌を与えると泳ぎながら餌を捉えていましたが、3日を経過した頃から砂に完全に潜り、餌を与えても海底上で摂餌するようになりました。稚エビは、5日間の飼育で平均体長が39mm(平均日間成長約0.36mm)まで成長し、しかも収容時には60%以上の個体にみられた歩脚障害が、放流時には全く認められなくなりました。
今回の囲い網飼育では、飼育期間が天候の都合で5日間と短期間でしたが、成長,馴致及び歩脚障害の回復等放流種苗の健苗性を獲得するうえで、非常に良い結果が得られました。今後はさらに改良を加えて、この囲い網方式を継続実施していく予定です。

(豊前海研究所浅海増殖課)

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囲い網の設置場所(豊前市沓川地先)

 

 

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