なみなみ通信Vol.21

豊前海における耐波性かきイカダの開発

  豊前海におけるカキ養殖は冬期の重要な漁業として急速に普及し、現在では「豊前海一粒かき」の名称で年間約1,000トンもの生産がなされており、さらに、海域の漁業振興を考える上で、その収益性の高さから重要な位置づけがなされています。
 しかしながら、現在のところ北部の静穏海域を中心に生産がなされ、中・南部海域では冬期の風や波によって養殖イカダの破損が著しいため、養殖の普及が進んでいません。そこで中・南部でもカキ養殖が行えるように風や波に強いイカダ(耐波性イカダ)の開発に取り組みました。
 通常、カキ養殖に使われるイカダは縦10m横20mの大きさで、孟宗竹を格子状に組み合わせて作られます。特にフロートを支えるレールと呼ばれる部分は人間に例えると背骨にあたり、この部分が破損した場合、修復が不可能となり、イカダそのものを作り替える必要があります。開発試験では、試行錯誤の結果、このレール部分に弾力性が高く曲げ強度に優れる直径76mmのFRP製材を使用したイカダを試作し、耐波性の検証を行いました。
 試験イカダは平成13年4月に製作して行橋市沖に設置し、平成16年3月まで経過を観察しました。平成15年3月と12月に中部〜南部漁場を中心に波浪によって漁場の1/3のイカダに破損被害が発生しましたが、FRP製材を使用した実験イカダでは破損被害が全く生じませんでした。また、実験イカダで育てたカキは、通常のイカダと比較しても、全く、成長・身入りとも遜色ありませんでした。
 これらの結果からイカダの軸となる部分にFRP製のパイプを使用することで、 耐波性の高いものを作ることが可能で、育てたカキの成長なども変わらないことがわかりました。通常イカダと比較すると約1.6倍の製作経費が必要ですが、耐用年数が従来型より長くなることによって経費的な問題はないと考えられます。
 今後は、耐波性イカダの耐久性についてさらに検証を行うとともに、あわせて、よりカキの生産性が高い高性能なイカダの開発にも着手しています。

(内水面研究所)

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