なみなみ通信Vol.22

潮汐流を利用したノリ漁場高度利用技術に関する研究

  有明海区では近年、ノリの色落ちが早期に発生するなど生産が不安定となっています。ノリ養殖主産地として生き残るためには、漁場ごとの生産力を評価し、生産力に応じてノリ網の枚数を減らすなどの改善をおこなって、生産の安定化を図ることが必要です。そこで漁場ごとに流れの状況を調査して、漁場に応じた養殖施設の再配置(網の張り込み数や張り込み方向の改善)を進めることを目的として、研究を行いました。
 まず、ノリ網張り込み前と張り込み後の流速を比較して、ノリ網を張り込むことによって、どのくらい流れが弱くなるか(流速減衰率)を調べました。
 また、筑後川河口からの距離とノリ網張り込みによる平均流速減衰率の異なる漁場内4地点のDIN(無機三態チッ素:ノリ養殖に必要な栄養分)量とノリ葉体の色の推移を調査しました。
 さらに、柳川沖の試験漁場(七つはぜ)において、ノリ小間の設置間隔・設置方向を変えた3試験区を設け、ノリ葉体の色を調査しました。その結果、以下のことが明らかになりました。

@ノリ網を張り込むことによる流速減衰率は40〜60%とノリ網が流れを弱める要因となっており、大和町・高田町の岸側及び大牟田岸側で減衰率が大きく、漁場位置による差が認められた。(左図)
A栄養塩供給の大部分を占める筑後川からの距離により、色落ちの発現時期が大きく違った。(右上表)
B植物プランクトンの増殖がない状態では、筑後川河口から遠い沖側漁場における必要DIN量は4μg・at/l以上と考えられた。また潮流の速い大潮時に色が回復し、流れの強さがノリの色に大きく関係していた。
Cノリ養殖施設の設置間隔を広くしたり、設置方向を流れに平行にすることで、色落ちの発現時期が10日程度遅れた。(右下表)

 今後は、漁場の免許区画ごとに流れの強さや養殖施設と流れの向きなどの精密なデータを収集し、養殖施設の設置方向・間隔等について検討を進める予定です。

(有明海研究所のり養殖課)

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