なみなみ通信Vol.23


海況情報

 いずれの海区とも水温は平年並みで推移していましたが、12月の水温は高めとなりました。


今年の放流トラフグは健全に成育中!

  福岡県では16年7〜8月に、5万尾の放流トラフグ(全長7cm)に右ひれカット標識を施しました。従来のトラフグ種苗は生簀内で噛み合うため、尾ひれが欠けているものが大半でしたが、近年の陸上施設での低密度飼育等の生産技術の進歩により、16年放流トラフグの尾ひれは写真のように天然魚のものと遜色ありませんでした。その種苗も16年10〜12月には福岡湾で20cm前後の幼魚に成長しています。福岡湾でのトラフグ幼魚資源量の指標となる小型底びき網での混獲尾数(天然魚も含む)は図に示すように、前年の2.3倍とこの5年間では高い水準となりましたが、このうち29%が放流魚ということが判別されたことからも、16年放流魚が健全に成育していることがわかります。この幼魚は16年12月には玄界灘に移動して広域回遊しながら成長し、翌年12月には40cmのトラフグ(天然魚で1万円前後/尾)となって漁獲されることとなります。  

(研究部漁業資源課)

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福岡湾の小型底びき網で混獲される
トラフグ幼魚量の経年変化(11月

福岡湾で採捕された標識放流魚

 


福岡湾で赤潮が発生しています

    福岡湾では昨年7月にヘテロカプサ サーキュラリスカーマによる赤潮が発生し、アサリ等のへい死がみられました。さらに、本年11月下旬からはギムノデニウム ミキモトイによる赤潮が湾内全域で発生しています。
 本種は、栄養塩を減少させるだけではなく、魚介類に直接的に悪影響を及ぼす種類です。本種の特徴として、中層域で細胞密度が高い場合があり、一見、海が着色していないようでも中層で多く発生している場合があります。魚類だけではなく、アワビやサザエ等にも影響がありますので、港内での蓄養には十分注意し、可能な限り速やかな出荷を心がけてください。
 漁場において、魚類やアワビ等のへい死や衰弱など、異常がありましたら水産海洋技術センターまでご連絡下さい。

(研究部海洋環境課)

 ギムノデニウム ミキモトイの顕微鏡写真

有明海のり養殖状況(1月下旬まで)

 今年の採苗は水温低下が遅れたため、昨年より6日遅い10月11日に始まりました。20日には台風23号が接近し、養殖施設への直接的な被害は少なかったものの、降雨による比重低下のため河口に近い漁場を中心に芽イタミ被害が発生しました。
昨年大きな被害をもたらしたあかぐされ病は11月6日に初認されました。しかし、11月の降水量が少なかったことと適切な干出操作が功を奏し、高水温にもかかわらず大きな被害にはなりませんでした。ただし、被害の軽減を目的に高吊り管理を行ったため、赤めの製品となり質的には今一歩という結果になりました。
冷凍網は出庫予定直前の降雨で比重が低下したため、当初の予定から3日遅れの12月9日に張り込まれました。高水温は続きましたが、ノリの生長は良好で14日から摘採が始まり、1月上旬まで品質の高いノリの生産が続きました。しかし、1月10日を過ぎると珪藻の増殖が見られるようになり、14日には沖合の漁場で色落ちが確認され、徐々に拡大しました。冷凍3回目の共販は1月28・29日に行われ、これまでの累計はほぼ平年並みの生産となっています。

(有明海研究所のり養殖課)

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「豊前海一粒かき」の養殖経過

 今期も例年どおり3〜4月から各地で養殖が開始(種ガキの垂下)されました。
今期は、全般的にイガイやフジツボなど餌料競合生物の付着が少なく、特に主要生産地である北九州市地先においてカキの成長が早いなど、順調に経過しました。
 しかし8月下旬からの相次ぐ台風の直撃によって養殖イカダの約1/3が大破し、廃棄処分せざるを得ない状況となり、破損程度が軽微なイカダにおいてもカキの脱落や垂下連のもつれによって収穫量が減少するなど、かつて経験したことがない程の大規模な被害が発生しました。このため、生産量は例年になく少なく、1月中にはほとんどの漁家で生産が終了する見込みです。
 一方、各地で被害が発生したなか、平成15年度に豊前海研究所において開発(一部において既に導入)した耐波性イカダについては被害程度が軽微な状況でした。今後、このような災害に備えて、同イカダの普及を進めることが急務であると考えています。

(豊前海研究所浅海増殖課)

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大破した養殖イカダ 耐波性イカダ
 
マシジミの資源回復のために

シジミには淡水域に生息するマシジミと汽水域に生息するヤマトシジミがあります。このシジミ類は筑後川における主要な漁獲物の1つですが、近年、漁獲量は大きく減少しており、漁業者から資源回復の強い要望があります。  そこで、内水面研究所では今年度は予備調査として筑後大堰下流域においてマシジミの食害状況調査をしました。 カゴにマシジミ(1kg)を収容し、網で蓋をした食害防止区と蓋をしない対照区を設置し、生残状況を調べました。 食害防止区の生残率は20.0%、対照区は5.5%と、防止区の蓋の不具合などもあり明確な差は見られませんでしたが、両区とも割れた貝殻が見られコイ等による食害が多いと思われました。今後は、防止区の改良を図るなど試験設定をより厳密にし、食害防止対策のための資料を得るほか、有明海研究所と共同で環境要因も含め、シジミ類減少の原因を調査し、資源の復活に役立てたいと考えています。

(内水面研究所)

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食害状況調査の結果(平成16年) マシジミのへい死個体と割れた貝殻

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