なみなみ通信Vol.25

海況情報

 水温は、筑前海では沖合、沿岸部ともにやや高めでしたが、他の海区はほぼ平年並みで推移しました。


筑前海にウミケムシが発生中

 ウミケムシをご存じですか?
 ウミケムシはミミズやゴカイの仲間、環形動物に属する動物です。砂泥質の海底に潜み小魚や小動物を襲って食べます。大きさは最大で13cm前後、中には20cm近くにも達する ”大物 ”もいるそうです。見た目は陸上のケムシそっくりで、全身に短い剛毛が生えています。剛毛には毒が含まれていて不用意に触ると抜けた毛が皮膚に刺さり、炎症を起こします。 また、ウミケムシは陸上のケムシと違って蝶や蛾などに変身することもありません。一生ケムシのままです(写真の個体は体長約13cm)。
 ウミケムシは底びき網やかごなどに大量に入り、操業上の問題となっていますが、一般の人がウミケムシに接する機会として最も多いのは、魚釣りの釣り針に掛かること、磯遊びなどで海岸に打ち上げられたウミケムシに接することなどが考えられます。
 ウミケムシを釣り上げた場合は、素手で触らないで下さい。また、軍手やタオルなどで触った場合は抜けた毒毛が軍手等に付着している可能性がありますので注意が必要です。うっかり毛の付着した軍手やタオルで顔などをこすると毒毛が刺さることがあります。 また、磯遊び等で見かけた場合も絶対に触らないように注意しましょう。

(研究部海洋環境課)


ウミケムシ(よく見ると結構美しい形をしています。)


16年度ふぐ延縄漁業を振り返って

 トラフグを対象としたふぐ延縄漁業は9月から4月まで行われ、4月8日には鐘崎漁港においてふぐ供養祭が営まれました。
福岡県の16年度漁期は、水揚げ金額は15年度と変わらなかったものの、漁獲尾数では20%減少していました(図1)。
 これは1〜2歳の若齢魚が減少し、3歳以上の大型魚が多く水揚げされたため、15年度より1尾あたりの単価が高くなったためです。
 1〜2歳の若齢魚は、来年度以降、漁獲の中心となる年級群であることから今後の資源状況、漁獲量減少などが懸念されます。
 このように資源や漁獲の減少が心配されているなか、本年度から九州・山口のふぐ延縄漁業者が参画するトラフグ資源回復計画がスタートすることになりました。この計画では操業期間の短縮や再放流サイズの大型化(15cm→25cm)などが実施されます。また本県では従来から、トラフグの種苗放流事業も行われており、本年度も8月の種苗放流に向け、栽培漁業公社において放流用種苗を生産・育成中です。


(研究部漁業資源課)


有明海のアサリ稚貝情報

 福岡県有明海のアサリの漁獲量は、平成12年以降は15年を除いて1,000トンを割り込む年が続いていますが、17年3月の福岡県有明海研究所の調査で、柳川地先干潟に16年秋期発生群と考えられるアサリ稚貝が数千〜十万個/uの密度で生息していることが確認されました。
 また、6月6、7日に行われた有明海漁連の調査では、柳川地先のみならず、大和地先も含めたかなり広い範囲で高密度の稚貝発生が認められました。
 この貝が順調に成長すれば、18年の春には漁獲することができます。
 これらの調査結果をもとに、有明海漁連が中心となって6月20、21日に高い密度のアサリを間引き、アサリのいない他の漁場に移植放流し、資源の有効利用を図っています。
 アサリ資源が減少している現状の中で、発生した稚貝を今後の漁獲に結びつけるためには、漁業者自身も取り決めを遵守し、率先して資源保護に取り組むことが大切です。


アサリの稚貝(6月20日)
(有明海研究所資源増殖課)


抱卵ガザミ資源保護の取り組み

 豊前海区では、平成16年度から福岡県漁協青壮年協議会豊前支部が主体となり、ガザミ資源の維持・増大を図るため、抱卵ガザミの保護活動に取り組んでいます。
 今期は、保護する抱卵ガザミの目標尾数を3,000尾とし、5月15日から活動が開始されています。具体的な方法は、漁獲された抱卵ガザミの甲羅に「トルナ」と書き込み(写真1、2参照)、所定の海域へ再放流を行うというものです。
 この活動は資源回復計画の重要な取り組みの一つで、啓発ポスターを作成し配布するなど、豊前支部は積極的に活動を展開しています。「トルナ」と書き込まれた抱卵ガザミが再捕された際は、ぜひ再放流されるよう、皆様方のご理解とご協力をお願いします。
(豊前海研究所浅海増殖課)


写真1 書き込み作業               写真2 抱卵ガザミ


外来魚駆除への取り組み

 外来魚のうち、ブルーギルは昭和35年に米国から移入された外来魚で、本県でもほぼ全域に生息しています。
ブルーギルは雑食性で、在来魚の卵や稚仔魚も食べ、繁殖力も強いことから漁業や生態系への影響が懸念されています。このため、内水面研究所では本県におけるブルーギルの生態を把握するとともに、その駆除技術開発に取り組んでいます。
 現在まで、ブルーギルは魚、ミジンコ、水棲昆虫(カゲロウ等)、小型巻貝および藻類など多様な生物を旺盛に食べていること、産卵盛期は5月頃で、生後2年(全長10p前後)から卵を産み始めることなどがわかりました。
 17年度からは、ブルーギルが繁殖しているため池などで、産卵盛期の5月頃を選び、漁業者の方と共同してかごを使って親のブルーギルをとる方法や、人工の産卵床を設置し、そこに産んだブルーギル卵を取り上げて孵化仔魚の数を減らすことなど効果的な駆除方法について研究を進めています。
(内水面研究所)


駆除用かご設置                実験用人工産卵床


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