なみなみ通信Vol.25

豊前海における漁場造成(投石)によるナマコの増殖効果

 豊前海におけるナマコこぎ網漁業は、漁閑期に当たる冬期の重要な漁業の1つで、漁業者のナマコ資源の増殖に対する期待や要望が多く寄せられています。
 豊前海は、水深が浅く海底の大部分が浅海性の砂泥質漁場で占められ、ナマコの生息に必要な岩礁・転石域が少ないことから、県ではナマコ資源の増殖を図るため、平成3年度から投石(人工的に海底に自然石を並べて岩礁・転石域を造成すること)を主体としたナマコ増殖場の造成を実施してきました。
 今回、豊前海研究所は、平成10〜13年度に造成した行橋市地先の増殖場を対象にナマコの増殖・漁獲状況を調査し、増殖手法としての投石による漁場造成の効果・妥当性を検証しました。
 調査は、漁場造成した増殖場(投石区)とこれに隣接した天然岩礁域(天然礁区)、および周辺域の砂泥質域(砂泥区)を対象に、潜水によるナマコ生息状況の観察と生息量の把握、及びナマコこぎ網漁業者の協力による操業試験を行いました。
 まず、生息状況の観察では、投石区では、餌となる海藻の着生量は天然礁区に劣るものの、周年にわたり、他の2区よりも多くのナマコの生息が確認されました。
 また、枠取り調査による生息量は、投石区では平均で1m2当たり4.7尾と極めて多く、調査区別で比較すると投石区:天然礁区:砂泥区は25:5:1の割合と大きな差になりました。
 種類別に見ると、クロナマコが70%、アオナマコが30%で、筑前海等の外海性磯漁場に多いアカナマコの生息は確認されませんでした。
 さらに、投石域や天然礁域のすぐ周辺域でのナマコこぎ網漁業の操業試験の結果同様に、漁獲量は投石区、天然礁区、砂泥区の順となりました。
 これらのことから、豊前海では、投石による増殖場造成はナマコ資源の増殖手法として極めて高い効果をもたらすことが明らかになりました。また、潜水観察では魚類等の幼稚魚の保育場になっていることも確認しており、これらの資源増大にも寄与することが期待されます。

(豊前海研究所浅海増殖課)

  
投石区におけるナマコの生息状況


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