なみなみ通信Vol.26

有明海におけるガザミの漁獲後のへい死原因とその対策

   ガザミは有明海において、産業的に重要な甲殻類の一つです。しかし近年、漁獲量は減少傾向にあり、安定的で且つ持続的な漁獲が望まれています。こうしたなか、ガザミを主に漁獲する固定式刺網漁業者から夏季を中心に、漁獲したガザミがへい死する割合が上昇しているため、その対策が要望されています。そこで、固定式刺網漁業者を対象に漁獲直後から出荷までの一連の作業内容とへい死状況を把握し、原因の特定と改善策について検討しました。
  へい死実態を把握するため、漁獲直後・運搬帰港中・自宅蓄養生簀内の3つの時点で、漁獲時期やガザミの甲羅の硬さ(以後、個体形質とし硬い順に「硬」「寸」「ヤワ」と呼ぶ)によるへい死状況を調べました。2年間の調査の結果、夏季以降     に、運搬中および自宅畜養生簀内で、ヤワ中心にへい死尾数が多くなる傾向がみられ、へい死割合は8%以下でした。へい死の主因は、現場状況や室内試験の結果から水温と個体形質であると考えられました。これはガザミが脱皮する際に相応のエネルギーを費やし、活力が低下しているところに急変する水温ストレスに耐え切れずへい死するものと考えられました。この対策としては、漁獲後の水温を25℃程度の低温で一定に保てばヤワもへい死しないことがわかりました。
ガザミ資源の有効利用を図るためには、漁船の魚槽および自宅畜養生簀に水温調節器(海水冷却機)等を設置して水温を一定に保つ方法やヤワを再放流して甲羅が硬くなってから漁獲する方法が有効であると考えられます。ガザミの不漁が続く有明海では、現在取り組んでいる種苗放流に加え、資源管理についてもさらに検討していく必要があります。

(有明海研究所 資源増殖課)

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甲羅の最も軟らかい「ヤワ」

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時期別のガザミへい死状況

へい死したガザミの収容過程別・個体形質別割合

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室内試験による個体形質別のガザミ生残率

 

 

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