なみなみ通信Vol.30

 

海況情報

 水温は、筑前海では7月は平年並み、8月は平年よりやや高め、9月は沖合部ではやや高め、沿岸部ではやや低め、有明海では7〜9月は平年並み、豊前海では7月は平年並み、8月は平年より高め、9月はやや高めで推移しました。


響灘海域で発生した赤潮(カレニア・ミキモトイ)

 響灘海域では有害な植物プランクトン(渦鞭毛藻)の一種であるカレニア・ミキモトイが7月中旬に発生しました。本種は1cc当たり数千細胞に増加すると魚介類のへい死を引き起こす恐れがあります。7月19日には北九州市の藍島漁港内で43,100 細胞/cc に達し、21日には藍島の他、同市馬島及び脇之浦のアワビへの被害を確認しました。その後、7月26日には500細胞/cc以下に減少し、赤潮は消滅しました。
 センターでは被害を最小限に抑えるために、北九州〜遠賀地区の漁協等の関係機関に赤潮情報を送信するとともに、赤潮発生域では魚介類の早期出荷するよう、また、漁港での蓄養を行わないように指導しました。


赤潮拡大時の発生海域(7月24日)
(クリックすると大きな画像が表示されます)


カレニア・ミキモトイ

(研究部 海洋環境課)


筑前海にも流木出現

 長崎県沖の東シナ海から五島沖にかけて大量に出現した流木の一部が筑前海にも出現しました。流木の発生源については正確には判明していません。筑前海で出現した流木は長さが1m〜5m前後、太さが10cm〜50cm と大きさも形もまちまちですが、中には100kgを超える大木も見られました。筑前海では8月上旬が出現のピークで9月には大幅に減少しました。これらの流木は水を吸って重くなり、海面すれすれに浮いているため、船からの確認は困難です。これらの流木に高速で航行する漁船が衝突するとプロペラや舵の破損はもとより転覆などの大事故につながるおそれもあります。
 このため当センターでは流木情報を関係漁協(支所)に伝えるとともに、8月2日には海上保安部と、8月11日には漁業者と協力して玄界島沖で流木の回収作業を行いました。


海に漂う流木


漁業者と協力して流木を回収


調査船げんかいの甲板に積み上げられた流木


回収された流木は陸揚げされ焼却処分

研究部 漁業資源課)


平成18年度有明海のり養殖のポイント

 今年ののり種付け解禁日は、9月22日の組合長会で10月8日と決定されました。現在(9月25日)の海況は水温23.9℃、比重21.8、栄養塩19.3μg・at /l でとくに問題ありません。
 今年ののり養殖のポイントは以下の通りです。

(1)採苗・育苗
 今年の採苗は大潮ですので、殻胞子の放出時には潮の流れが速く、タネのムラ付きは少なくなると考えられます。昨年は高水温のため芽付きが悪く、採苗に苦労しましたが、今年はその心配もなさそうです。芽数は蛍光顕微鏡100倍で視野あたり3〜10個程度とするのが良いでしょう。
 採苗後の10月15日前後は小潮で干満差が小さく、漁場によっては著しい比重の低下が予想され、芽いたみの恐れがあります。しかし、芽いたみを心配するあまり、無干出を続けると弱い芽になって、いずれは芽の流失を招く原因となります。曇りの日には干出を多くとるなど、天候に応じて適切な操作を行い、健全な芽を育てることが、今年の育苗のポイントです。
 順調に経過すると10月31日頃から冷凍網入庫となりますが、生長を急ぐと入庫が小潮にかかり、干出の効いてない冷凍網となりますので、育苗はあわてずに行いましょう。
(2)秋芽生産
 初摘採は11月6日頃からとなり小潮前に1回目の摘採は終了しますが、2回目の摘採は小潮であかぐされ病被害が予想されます。水温が18℃前後まで低下していれば、軽症で小潮を乗り越えられると思われますが、高水温と降雨に見舞われると大きな被害になる可能性が高くなります。この13日を中心とした小潮の海況が秋芽生産の成否の分岐点になるでしょう。
(3)冷凍網生産
 冷凍網生産でスミノリやクモリノリの発生を防ぐためには、冷凍網の出庫を小潮過ぎに設定するのが適当です。今年の場合、12月13日前後ということになります。秋芽生産の漁期を12月上旬までと考え、12月中旬の冷凍網出庫を目標にするのが良いでしょう。


有明海研究所 のり養殖課)


シャコの年はいくつ?年齢査定調査に着手

 豊前海研究所では、小型底びき網の主要な漁獲物であるシャコ資源の状況を明らかにするため年齢査定調査を始めました。
 シャコの寿命は3年、産卵期間が長く、成長は地域差があると言われていますが、豊前海でははっきりわかっていません。シャコの体長と年齢の関係を明らかにし、成長を把握することは、シャコ資源を管理する上で貴重な資料になります。しかしこれまでは、シャコの年齢を査定する方法が無く、成長の把握ができませんでしたが、近年新たな技術が開発され、シャコの脳内に年齢と共に蓄積するタンパク質の量をはかることで年齢を査定できるようになりました。そこで豊前海研究所は(独)瀬戸内海水産研究所と共同で、今年度からシャコの年齢査定に取り組んでいます。調査は毎月1回、試験操業を行い体長の異なるシャコを採取して、生きている間に脳の一部を保存します。その後、タンパク質の量をレーザー顕微鏡を使って測定し、年齢を推定します。まだ予備実験の段階ですが、順調に進んでおり今後の成果が期待されます。

 


(豊前海研究所 浅海増殖課)


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