なみなみ通信Vol.30

秋芽生産を左右する「あかぐされ病遊走子」の早期検出

 のり養殖業に大きな被害をもたらす病気にいわゆる「あかぐされ病」があります。この病気は特に水温の高い秋芽生産期(11月)に猛威をふるい、年によっては全滅に近い被害を出すことさえあります。有明海研究所では平成14年度からこの病気の種にあたる遊走子を、特定のDNAを増幅させるPCR法を使って海水中から早期に検出する研究に取り組みました。
 その結果、漁期が始まる1ヶ月も前の9月上旬に遊走子を検出することができました。これまであかぐされ病が確認されるのは、早くても10月末であったため、水温の低下によって発症するものと考えられていました。しかし、本研究により「遊走子は早くから海水中に存在しているが、宿主であるノリ葉体の長さが5cm程度以上に生長して初めて感染が成立する。」ということが明らかになりました。その理由としてはこのくらいのサイズからノリ網が乾燥しにくくなり菌の拡大を助長することや、生長したノリによって流速が遅くなり遊走子が感染しやすくなることが考えられます。
 遊走子の分布は、比較的流速が遅く海水の滞留する漁場の中央部で密度が濃い傾向が認められました(図)。このことから病害対策上、これらの漁場は減柵によって流れをよくしていく必要があります。今後は遊走子の分布状況と実際の病害発生状況とを照らし合わせたデータを積み上げていき、あかぐされ病の発生動向に関する情報を漁業者に提供できるようにしていきたいと考えています。



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(有明海研究所 のり養殖課)


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