なみなみ通信Vol.31

 

海況情報

 水温は、筑前海ではほぼ平年並み、有明海では10・11月は平年よりやや高め、12月は高め、豊前海では10・12月は平年並み、11月はかなり高めで推移しました。


エチゼンクラゲの分布状況
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筑前海にエチゼンクラゲが接岸!

 筑前海では9月18日の台風13号の通過以降、エチゼンクラゲ(傘径30〜80cm)の小型定置網や小型底びき網等へ入網が相次ぎ,選別作業時間の増加や、漁獲物の鮮度劣化等の被害がでました。今年の特徴としては,来遊のピークが昨年(7月中旬〜 8月初旬)より1ケ月以上遅れたこと、また、より沿岸域に大量に来遊したことでした。本年,沿岸域に多く来遊したのは、9月に北寄りの風が吹いた日が多く、風力も強かったため(福岡管区気象台)、沖合域(対馬東水道)を北上していたクラゲ群が本県沿岸に吹き寄せられたことが原因と考えられました。
 センターでは、ホームページ等によりクラゲ情報の発信を行うと同時に漁業被害を防止するための来遊予測手法の開発やクラゲ防除のための漁具改良試験や加工試験を行っています。


エチゼンクラゲの分布状況
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小型底びき網での入網状況
(福岡市西区奈多地先)


大島(宗像市)沿岸で游泳するエチゼンクラゲ
(約傘径80cm)

(研究部 漁業資源課)


”豊前海一粒かき”の生産状況

 本年も3〜4月から各地で養殖が開始(種ガキの垂下)されました。
 養殖当初は、競合生物のカキへの付着が少なくカキの成長は良好で、夏期の台風についても、今年度は8月中旬に1度通過しただけで、大きな被害はありませんでした。
 また、夏場にカレニア・ミキモトイによる赤潮が大規模に発生し、貧酸素水塊の形成も確認されましたが、カキはへい死することなく順調に経過しました。
 その後も大きなへい死も見られず、高い歩留まりで経過しています。カキの成長は、へい死がなかった分、高密度での養成となったため、例年と比較して約1ヶ月程度の身入りの遅れがありましたが、現在では身入りの状況も良くなり、「海のミルク」と呼ばれるグリコーゲンが入った美味しい「豊前海一粒かき」が収穫されています。

豊前海一粒かき


前年度との各月のむき身重量の比較

研究部 漁業資源課)


筑後川でシジミを増やすための試験をしています

 ヤマトシジミやマシジミなどのシジミ類は、他の貝類に比べてうま味成分が多く、ミネラルが豊富な貝です。福岡県では内水面漁業での生産量が最も多い水産資源で、年間約200トンの生産をあげていますが、近年、その生産量はのび悩んでいます。
 このため内水面研究所では、マシジミを増やすための移植試験を筑後川で行っています。
 平成17年度までの移植試験では、魚などによる食害により減少することがわかりました。
 そこで、今年度は食害を受けないように金属等でできた頑丈なカゴにマシジミをいれ、さらに、移植するマシジミの活力を保持するため、高温にならないよう保冷剤で冷却しながら輸送、移植しました。
その結果は、今まで移植後の生残率が50%以下だったものが、今年度の試験では80%程度となりました。さらに、カゴのなかに移植マシジミに混じって天然のマシジミの稚貝が生息し始めるなど、天然マシジミを利用して増やすためのヒントも得られました。
 これらの試験の結果を、漁業現場に応用できる実用レベルの技術にするには、まだまだたくさんの課題がありますが、川でマシジミがたくさん取れるように取り組みを進めてゆきたいと考えています。

 


移植マシジミの生残率と天然稚貝の
カゴへの混入数
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移植カゴとマシジミ

(内水面研究所)


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