なみなみ通信Vol.32


海況情報

 水温は、筑前海では平年より高め、有明海では1月は平年並み、2〜3月は平年より高め、豊前海では1〜3月は平年より高めで推移しました。



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TAC(漁獲可能量)対象種の漁獲動向について

 「海洋生物資源の保存及び管理に関する法律」に基づき主要魚種に関して TAC(漁獲可能量)が定められ、その数量内において、適切な漁獲、管理を行う必要があります。そのうち本県筑前海区では5種類(マアジ、マサバ、ゴマサバ、マイワシ、スルメイカ)にTACが定められています。
 平成18年漁期(1〜12 月)については,マアジの漁獲量は2,411トンで,平年(*)比96%,前年比122%と、ほぼ平年並みであり、近年ではやや不漁であった前年を上回りました。マサバとゴマサバをあわせたサバ類の漁獲量は967トンでした。6〜8月は好漁でしたが、9月以降の漁獲が伸び悩み、平年比 112%、前年比107%と、ほぼ平年、前年並みにとどまりました。マイワシは漁獲量 64トンと若干の漁獲はあるものの、昭和50年代の高水準期の 50分の1程度であり、依然として低い資源状況が続いています。スルメイカの漁獲量は 234トンで、平年比67%、前年比171%と、平年を大きく下回りましたが、不漁であった前年は上回りました。
( 平年・・・平成13〜17 年の平均)



TAC対象種の年別・月別漁獲量
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(研究部 漁業資源課)


福岡湾わかめ養殖 ―生産量は昨年の2倍―

 本年度の福岡湾のワカメ養殖は高水温と低栄養などによる幼葉の消失が懸念されたため、水温や栄養塩の状況をモニタリングしながら張り込み時期を延期するように指導しました。これにより例年より 10〜15日ほど遅れて11月中旬の張り込みとなりましたが、芽落ちせずに葉体まで成長することができました。漁期後半には栄養塩が減少し、藻体の活力が低下したため付着物が多く、歩留りが減少し加工に時間を要しましたが、昨年の2倍となる50tの生産が見込まれています。



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(研究部 浅海増殖課)


平成19年有明海春季アサリ資源量調査
   ―過去20年間で最高の資源量!!―

 去る平成19年2月27、28日の二日間、有明海全域のアサリ資源量調査を実施しました。その結果、昨年 9月の調査に比べ、4,000トン増加の約14,000トンの資源量があると推定されました。これは平成に入ってからでは最高の資源量となっています。その理由として、アサリが平均して前回の調査に比べ5o前後成長していることが挙げられます(下図)。近年有明海ではアサリの成長が以前に比べて遅くなっていることが指摘されていますが、今回の調査では1ヶ月に約1ミリの成長が認められました。このまま順調に成長すれば、数ヶ月後にはかなりのアサリが漁獲サイズである3pを超えると期待されます。3月中旬以降、餌となる珪藻プランクトンが大量に発生したため身も太り、今年は身の詰まったおいしいアサリがたくさん採れそうです。


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(有明海研究所 資源増殖課)


海区を横断した試験出荷−豊前から筑前の直販所へ−

 筑前海では、各地で朝市、直接販売が行われていますが、冬季は小型底びき網漁業が禁漁となるため、店頭に並べる漁獲物が少なくなりがちです。一方、豊前海ではこの時期に小型底びき網の操業ができるものの、地元での漁獲物の単価は低迷しています。そこで両海区の課題を解決するため豊前海の漁獲物を筑前海の直販所へ試験出荷する取り組みを行いました。
 豊築漁業協同組合の小型底びき網漁業者が主体となって、豊前海研究所と共に平成 18年11月〜19年3月にかけて計16回、高価格が見込めるヨシエビ、ガザミを脇田漁業協同組合所有の活魚水槽車を使って脇田漁協が出店している「汐入の里」(北九州市若松区)への試験出荷を行いました。
 試験結果は、期間中、ヨシエビ300kg、ガザミ 200kgを出荷したところ、取引価格はヨシエビ1,800円/kg 、ガザミ1,300円/kgと豊前海の市場価格の約2倍でした。特に、年末を中心としてヨシエビの評判がとても良かったため、今後も販路拡大に向けた取り組みを継続して行っていく予定です。



出荷の様子



汐入の里の店頭に並ぶ豊前産の水産物


(豊前海研究所 漁業資源課)


平成18年度有明海のり養殖経過と生産結果

1.養殖経過
 (1)育苗・秋芽生産期
 採苗は10月8日から開始されました。採苗当日は 22℃台と適水温で迎えられたものの、その後の水温低下がみらなかったため、中には網から脱落しやすい脆弱なノリ芽も認められました。しかし、冷凍入庫は好天に恵まれたため良質の網が入庫されました。その後の秋芽生産も干出と早め早めの摘み取りが徹底されたことで、高水温で心配された病気の被害も最小限で食い止めることができ、まずまずの生産をあげることができました。
 (2)冷凍生産期
 冷凍網出庫は12月15日から始まり16日には作業を終えました。張り込まれた冷凍網の状態はおおむね良好で、心配された芽の流失もなく、スミノリ症を起こす細菌類も見られませんでした。
 冷凍網生産は水温が高め傾向で伸びが良かったこと、秋芽生産と同様、早めの摘採が励行されたことにより良質のノリが生産されました。しかし、2月中旬頃から病害が拡大し2月下旬には生産不能の網の撤去も行われました。また、それに加えて3月上旬には栄養塩が低下し、全域で色落ちが発生し、終漁の気配が濃厚となっています。

2.生産結果
 平成18年度の総生産は第9回共販までで枚数 14.4億枚、金額135.9億円、平均単価9.41円と、良質のノリが多く生産されたにもかかわらず単価の伸び悩みのため生産金額にやや不満の残る結果となりました。




(有明海研究所 のり養殖課)



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