なみなみ通信Vol.33

 

海況情報

 水温は、筑前海沖合域では4月はかなり高め〜はなはだ高め、5月は平年並み〜やや高め、6月は平年並み〜やや高め、筑前海沿岸域では4月ははなはだ高め、5月はやや高め〜かなり高め、6月はやや高め、有明海では4〜5月はやや高め、6月は平年並み、豊前海では4月はかなり高め、5月はやや高め、6月は平年並みで推移しました。



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新宮相島のアコヤガイ挿核始まる

 全国の真珠養殖産地では、感染症のまん延によって、アコヤガイの大量死が続き、生産量が激減しました。このような中、糟屋郡新宮町相島地先に天然のアコヤガイが生息し、純国産かつ無病であることが確認されたことから、水産海洋技術センターでは、母貝生産及び真珠養殖試験に取り組みました。その結果、生残、成長が極めてよく、高品質で、大珠真珠の生産が可能であることがわかりました。このことから、(株)ミキモトは相島への進出を決定し、「(株)ミキモト博多真珠」を設立、当地で生産を始めることになりました。平成19年5月末からは、挿核(真珠の元となる核を貝の中に入れる。)作業が始まり、6月1日には、(株)ミキモト田中社長、本城九州大学教授、中島副知事、本田水産林務部長が出席しての挿核式典が行われました。当日は来賓の他、地元の小中学生らが、(株)ミキモト博多真珠の社員の指導により、実際に挿核作業を体験しました。2,3年後にはこれらの貝から美しい真珠がとれることでしょう。



相島産真珠から製作した装飾具



地元小中学生による挿核体験


(研究部 浅海増殖課)


筑前海のグミ分布状況

 近年、ナマコの一種であるグミが沿岸域で発生しており、2そうごち網やエビこぎ網、建網、かご漁業等多種漁業の操業に多大な影響を及ぼしています。
 水産海洋技術センターでは浸透圧を利用したグミの再生産阻害(塩分処理によるグミの駆除)技術を開発し、昨年度から県漁連、漁業者と協力して福岡湾、唐津湾で実証試験を行っています。本年度のグミの分布は、昨年度高密度に分布していた福岡湾口部、糸島地区で生息密度が減少し、全体的にも減る傾向が見られます。しかし、部分的には、玄界島北東部や唐津湾沿岸部で高い密度で分布しています。今後も分布拡大を防止するために、より効率的な駆除技術の研究に取り組んでいきます。



グミ分布状況調査



グミの分布状況(平成19年4月〜5月)
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(研究部 海洋環境課)


ノリ新品種の登録が認められました

 有明海研究所で開発した低塩分に強い養殖ノリ新品種が平成19年3月23日付けで品種登録されました(登録名:福岡有明1号、登録番号:第15530号)。種苗法に基づき現在登録されている海藻類では、「福岡有明1号」が日本で唯一の品種になります。また、都道府県機関によるノリ養殖品種の登録も全国で初めてです。
 有明海研究所では、他県に先駆けて、バイオテクノロジーを利用したノリの育種研究を行ってきましたが、その結果、河口に近い塩分が低下する漁場でも高生長・高品質を示すノリの新品種の開発に成功し、今回、品種登録が認められたものです。
 新品種の「福岡有明1号」は塩分適応性が広く、河川水の影響を受け塩分が低下する漁場はもちろんのこと、河川水の影響が少ない沖合の漁場でも生長が優れています。また、漁業者委託試験では、「伸びがよい」、「黒みが強い」、「製品の艶がよい」と高い評価を得ています。


従来種


新品種
(福岡有明1号)

河川水の影響を受け塩分が低下する漁場における養殖試験結果


(有明海研究所 のり養殖課)


軟甲ガザミの標識放流試験を実施しています

 ガザミは有明海の重要水産資源の一つです。有明海のガザミ漁業者が「福岡県有明海ガザミ育成会」を組織し、種苗放流等の栽培漁業や抱卵ガザミ、小型ガザミの再放流等の資源管理型漁業にも積極的に取り組んでいます。
 有明海研究所では、将来的な資源管理方策を検討するため、ガザミ育成会と協力して平成17年度から軟甲ガザミ(脱皮後で甲がまだ柔らかく安値で取引される)の標識放流試験を実施しています。17年度に放流したガザミのうち5.4%(16尾再捕/294尾放流)が、また17年度に放流したガザミのうち15.4%(42尾再捕/273尾放流)が再び漁獲されました。これらは甲羅が堅くなっており、高い値段で売れます。18年度放流分については今後も秋頃まで漁獲されますので、再び漁獲された割合は15.4%よりさらに高くなります。
 これまでの研究成果から、再放流した軟甲ガザミの再捕率が約20%以上であれば、甲が硬くなったことによる単価上昇により、採算がとれることが明らかとなっており、この2カ年の調査から20%を超えることも十分期待できると考えています。(軟甲ガザミの再放流導入には、漁業者との十分な協議が必要です)今年度も、放流時期や場所の検討を行うために、秋以降に標識放流を実施しますので、標識ガザミを再捕し店頭で見かた場合は、有明海研究所資源増殖課(TEL0944-74-0365)まで連絡下さい。



標識放流ポスター


(有明海研究所 資源増殖課)


寺内ダムのアユ調査

 5月下旬以降、県内の各河川ではアユ釣りが解禁になり、あちこちでアユを釣る姿も見られ、アユは最もよく親しまれている川魚といえます。アユは1年で生涯を終える魚で、春に稚アユが海から川にのぼり夏〜秋にかけて石につく”こけ”(珪藻)を食べて成長した親アユとなり、秋に川の比較的下流域で卵を産んで、一生を終え、卵からふ化したアユは海に下るという生活をします。
 しかし、川の途中に大きな湖があると、海の代わりに湖を利用して生活するアユがいます。よく知られているものに琵琶湖の「湖産アユ」があります。これらのアユは、陸の中の水域で一生を完結することから「陸封アユ」といいます。
 福岡県でも、浮羽市の合所ダム、朝倉市の寺内ダムにこの「陸封アユ」が生息しており、寺内ダムでは漁業者や地元の釣人がこのアユを利用していますが、このアユがどこでに卵を産み、どのくらいの尾数が生息しているか、よくわかっていません。そこで、内水面研究所では、寺内ダムにおいて、昨年度から、アユの”脂鰭”を切り取った標識アユを放流して生息尾数を調べています。
 その結果、約5,000尾ほどのアユが生息していると推定され、さらに、一般のアユと比較するとそれほど適地ではないと考えられる場所で産卵していることなどが明らかになってきました。今後も調査を継続し、このアユを有効に利用するための方策の検討を行う予定です。



アユの標識作業



現在の産卵場


(内水面研究所)


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