なみなみ通信Vol.35

 

海況情報

 表層水温は、筑前海沖合域では10月ははなはだ高め、11月、12月はやや高め、筑前海沿岸域では10 月ははなはだ高め、11月はやや高め、12月は平年並み、有明海では10月ははなはだ高め、11月は平年並み、12月はやや低め、豊前海では10月ははなはだ高めで、11、12月はやや高めで推移しました。



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有明海のり養殖状況

  今年の採苗は水温低下の遅れと栄養塩不足から過去最も遅い10月27日に始まりました。このため、水温が十分に降下した状態で育苗が行われ、ノリは芽イタミがほとんどなく、健全に生育し、状態の良い冷凍網が11月20日から入庫されました。
 例年大きな被害をもたらすあかぐされ病は11月22日に初認されましたが、26日から開始された初回摘採期間での被害はありませんでした。12月に入り、病害の感染が徐々に広がりましたが、大きな生産低下をもたらすことなく、秋芽網は4〜5回の摘採を行い、12月27日までに撤去されました。
 凍網は平年よりも1ヶ月近く遅い1月3日から張り込まれ、色のもどりも良く、10日から1回目の摘採が始まっています。冷凍網生産は、栄養塩の動向に大きく影響されるため、栄養塩が長く持続するかが今後の生産の鍵となります。共販は1月上旬までに3回行われ、秋芽網生産としては生産枚数・金額ともに昨年度、過去5年平均を上回る結果となりました。



のり生産実績(秋芽網生産の比較)



「福岡のり」マスコット”有明・のりちゃん”


(有明海研究所 のり養殖課)


ハヤの資源回復に向けて

 ハヤ(オイカワ)は筑後地方では甘露煮で親しまれ、アユに次いで生産量が多く内水面漁業の重要な資源です。しかし、その漁獲量は平成8年頃には150トン程度あったものが近年100t前後と減少しています。このため、内水面研究所ではハヤ資源を人工的に増やす技術開発に取り組んでいます。
 18年度までに基本的な技術の開発を終えましたが、この技術を県内の漁業関係者へ普及するためには、現場の状況にあった使いやすい技術に仕上げてゆく必要があります。
 そこで、今年度からは、作業の省力化や安価な資材使用による省コスト化の技術改良に取り組んでいます。
 その一例として、稚魚育成(種苗生産)技術の改良を紹介します。
 一般に稚魚を育てる時は、生まれたての頃にワムシなどの生きた餌(生物餌料)を与えて、その後、比較的安価な配合餌料に切り替えます。しかし、生物餌料を与えるには、まず、生物餌料を飼育・培養する必要があり、経費や人手がかかります。そこで、なるべく人手や経費を抑えるために、
初めから配合餌料で育ててどのくらいが生き残り成長するかを検討しました。生物餌料の給餌を省略して育てる検討も必要です。
 そこで、生物餌料と配合飼料を与えたものと配合餌料のみ与えたものを一定期間飼育しました。その結果、配合餌料のみで飼育したものは、成長はやや劣るものの、生き残りには差がなく、生物餌料を使用せずコストを抑えた種苗生産が可能であることが分かりました。ハヤを人工的に増やす技術を漁業現場に活用するには、まだまだたくさんの課題がありますが、ハヤの資源量が増える技術開発を進めて行きたいと考えています。



ハヤ



給餌方法別の成長
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給餌方法別の生き残り
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(内水面研究所)


豊前海一粒かきの生産状況

 本年は、漁期当初、カキと餌を競合する生物の付着が少なくカキの成長は良好で、台風についても今年度は7月中旬に1度通過しただけで、昨年度と同様に比較的被害も軽微でした。夏季の赤潮の発生や貧酸素水塊の大規模な形成も見られず、カキはへい死することなく順調に生育しました。しかしながら、水温が低下していよいよカキの身入りが増す10月を過ぎてから、主要生産地である新北九州空港周辺漁場を中心にへい死が始まり、へい死率が40%を超えたイカダも一部にはみられました。へい死の発生原因は特定されていませんが、1つには夏季以降の水温が平年と比較して高めで推移したため、産卵後のカキの活性の回復が困難であったことが考えられます。現在ではへい死は終息し、「海のミルク」と呼ばれるグリコーゲンの入った美味しい「豊前海一粒かき」が豊前海全域で収穫され、食べ頃を迎えています。
 また、9月には消費者により安全な「豊前海一粒かき」を提供できるよう、三重県健康福祉部健康危機管理室の西中隆道講師を招いてカキ衛生管理に関する講習会を実施し、カキ生産者の知識向上に努めました。



豊前海一粒かき



カキ衛生管理に関する講習会


(豊前海研究所 浅海増殖課)


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