なみなみ通信Vol.37

 

海況情報

 表層水温は、筑前海沖合域及び筑前海沿岸域では4月はやや高め、5月、6月は平年並み、有明海では4月、5月は平年並み、6月は低め、豊前海では4月、6月は平年並み、5月はやや高めでした。



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アサリが豊漁・有明海

 有明海では平成12年にノリの大不作に見舞われました。この時期、アサリの漁獲も年に300トンにまで激減していました。県ではこの対策として、13年から底質の悪化した漁場にきれいな砂をまく覆砂事業を大規模に実施し、積極的に漁場の底質改善に努めています。また、有明海漁連を主体に、アサリの保護区の設定や高密度に発生した稚貝の移植放流など、アサリの資源管理に努力しています。
 これらの効果により、アサリ資源が回復し、18年には、5,839トンの漁獲を記録しました。19年も4,500トン(研究所推定)と豊漁でした。
 全国的にアサリの資源が少ないなか、有明海福岡県地先はアサリの稚貝が生育する全国でも貴重な場所となっています。しかし、残念なことにせっかくの稚貝を密漁する行為が見られています。密漁はアサリ資源の枯渇を招き、絶対に許せない行為です。みんなでこの豊穣の有明海、アサリ資源をいつまでも守って行きたいものです。



アサリ操業状況



福岡県有明海区のアサリ漁獲量の推移
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(有明海研究所 資源増殖課)


有害植物プランクトン「ヘテロシグマ・アカシオ」
                             による赤潮の発生

1 赤潮発生状況
 平成20年5月27日に豊前海において有害植物プランクトンのヘテロシグマ・アカシオによる赤潮の発生が確認されたため、豊前海研究所では定期的に調査を実施しました。
 ヘテロシグマ赤潮は主に5月から6月にかけて発生し、降雨の後に晴天が続くと発生することが多く、このため、初めは河川水の影響を強く受ける沿岸部や漁港内から発生が認められました。
 その後、6月3日の調査で赤潮は一旦縮小したものの、降雨と晴天が繰り返し続いたため6月11日には再び増殖し、6月23日頃まで継続しました。

2 漁業被害等
 ヘテロシグマ・アカシオは海水1ml中に10,000細胞以上になると魚をへい死させる恐れがあります。本種は昼間は表層に夜間は底層に移動する性質を持っているため、夜間は呼吸により低層水の酸素を消費して貧酸素を引き起こす可能性があります。
 従って、漁獲した魚を港内で活かす場合には十分な注意が必要です。このため、豊前海研究所では調査結果を随時漁業者に提供して注意を呼びかけています。
 なお、漁業被害については認められていません。



ヘテロシグマアカシオ及び貧酸素発生状況
(表層、5m層、底層の最大細胞数を示す)
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(豊前海研究所 漁業資源課)


加布里湾の天然ハマグリ資源

 福岡県の西部に位置する加布里干潟は国内でも珍しい天然ハマグリの産地です。一時期は絶滅の危機に瀕していましたが、平成8年くらいから回復の兆しがみえ始めたのを契機に、旧加布里漁協では、ハマグリ会を結成し、採取漁業規則を作り採取サイズ、漁獲量を厳しく制限し、輪作方式を取り入れるなど資源の維持管理に努めてきました。この甲斐あって平成12年からは年間10t前後の安定した出荷を行えるほどハマグリ資源が回復しています。水産海洋技術センターは、毎年資源量調査を行い資源状況を把握するとともに、ハマグリの稚貝発生状況を把握し、漁業者と共に資源管理を行っています。平成20年6月に行った調査では資源量は約300tで昨年と比較して増加する傾向がみられます。また、1年〜2年貝も多く今後も安定した漁獲が期待されます。


図 ハマグリの殻長組成
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(研究部浅海増殖課)


寺内ダムにおけるアユの標識放流調査

 前号で、筑後川支流の小石原川・佐田川の水産資源増殖のための調査・研究を行っていることと予備調査の結果を紹介しましたが、佐田川水系寺内ダムには陸封アユ(ダム湖でふ化し成長するアユのこと)が生息していることが知られています。しかし、資源量や成長などの基礎データが不明なため、これまで水産資源としての利用方策がほとんど立てられていませんでした。
 そこで、今年度、寺内ダムの陸封アユの資源量を詳細に把握するため、標識放流試験を実施しました。放流は、3月末に脂ビレカット標識の5,000尾及び4月末に脂ビレ及び右胸ビレカット標識の10,000尾の計15,000尾を放流しました。現在、研究所職員による投網再捕調査を継続中ですが、これまでに3月、4月末放流群の計50個体を再捕しました。現時点での生息量の試算では、予備調査での結果を上回りおよそ数万尾程度が生息することが明らかになりました。
 また、陸封アユは4、5月まではダム内で生活し、6月以降に河川に入り、石に着いた珪藻(苔)を食べながら成長する時期に推移していくのではないかと考えています。
 今後も資源量推定の精度を高め、その他生態などを明らかにするためデータを収集・蓄積してゆくこととしています。



標識作業及び標識部位



標識アユ再捕数及び陸封アユ採捕数の推移
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(内水面研究所)


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