なみなみ通信Vol.38


軟甲ガザミの再放流効果に関する研究

 有明海のガザミは産業的に重要であり、ガザミ漁業者は「福岡県有明海ガザミ育成会」を組織し、中間育成や種苗放流、黒デコ(ふ化直前の外卵を抱いた雌)の保護、小型ガザミの再放流等に積極的に取り組んでいます。
 一方、県では、ガザミの漁獲実態などの調査を行っています。これまでの調査の結果、夏季の水温上昇に伴い、漁獲したガザミのへい死が増加していますが、高水温であることに加え、脱皮後間もない固体(ヤワ)は通常の固体(カタ)と比べて甲羅が柔らかく、へい死率が高いことが明らかとなりました。市場においてもヤワでへい死したガザミは極端な低価格となってしまいます。対策としては、漁獲後に低水温で畜養ことで生残率が格段に高くなりますが、海水冷却装置の導入など一定のコストがかかります。
 ただし、ヤワを活魚で出荷したとしても、カタと比べると。2分の1程度の価格となってしまいます。そこでヤワを再放流し、カタになったものを漁獲し出荷することで単価の向上が見込めます。その可能性を探るため、ヤワの再放流実験を実施しました。
 有明海福岡県沖合計3箇所から、ヤワを主体に3年間合計で1,117尾を放流したところ、101尾を再捕し、9.0%の再捕率を得ました。@移動把握のため固定式刺網の最盛期(9月)をはずして放流したこと、A報告率の低さ、B脱皮による標識脱落、等を考慮すると、実際に導入した場合の再捕率はさらに高くなると見込まれ、ヤワ再放流は十分な効果が期待できると考えられました。
 高水温となる夏季は死亡しやすいヤワの漁獲も増えるため、今後は、今回の研究成果をもとに、『夏季におけるヤワの再放流の取組み』を推進します。



ガザミの移動
(平成19年10〜11月放流)
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標本漁家一軒当たり背甲の硬さ別月別漁獲尾数の推移(平成17〜19平均)と平年表層水温との関係
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(有明海研究所 資源増殖課)



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