なみなみ通信Vol.4

調査情報

海況情報

 平成11年度の本県沿岸域の表層水温は、1〜8月まではほぼ平年並みでしたが、9月以降はやや高めで推移しました。3月には平年並みになっています。

(研究部海洋環境課、有明海研究所のり養殖課、豊前海研究所漁業資源課)


コウイカ資源調査

 センター研究部では平成9年度から糸島地区のいかかご漁業で漁獲されるコウイカについて調査しています。冬季の漁業として重要ないかかご漁業ですが、収益性などをみると必ずしも優等生ではなく年々操業する人が減りつつあります。調査の結果、コウイカの幼イカは沿岸から沖合へと生活の場を拡大していきますが、他県にまたがるような大規模な回遊はしないと考えられます。
糸島地先には約120トンのコウイカが生息していると推定されました。通常、資源を増やしたり安定させるためには親を残すことが重要ですが、コウイカの場合は籠に産み付けられた卵をいかにして保護するかが課題と考えています。

(研究部漁業資源課)


ワカメ養殖情報

ワカメ養殖の主要な産地である福岡湾口域漁場では、数年来「斑点性先腐れ症」という病気の発生によって生産量が低下しています。その解決策のひとつとして、種苗の産地(母藻の生育地)に注目し、10年度から2ヵ年にわたって山口県下関産、地元産、従来種である長崎県島原産の3種を試験的に養殖しました。
試験の結果から、下関産種苗は、斑点性先腐れ症が発生した場合でもその影響が小さく(図1)、そのうえ養殖開始時期が多少前後してもその影響がほとんどなく(図2)、養殖開始期が種苗生産地の気象や海況によって決められている現状を考えると、新たな種苗として有効であることがわかりました。また、期待された地元産については、残念ながら他に比べて生長が劣っていました。
福岡市漁協志賀島支所及び弘支所の生産者は、10年度の試験結果を受けて、11年度から下関産種苗を一部で導入し、生産結果は良好でした。

(研究部浅海増殖課) 


有明海ノリ養殖結果

 1月中旬まで冷凍網生産は順調でしたが、1月末からプランクトンが増殖したため、沖側から色落ちが始まりました。2月中旬には大牟田の一部漁場と筑後川河口・柳川岸側漁場を除く漁場で色調が著しく低下し、網揚げが順次行われました。
3月に入ってもプランクトンは完全に消失せず、栄養塩が低いレベルで推移するなか、栄養塩回復の期待を込めて3月15日頃から網が張り込まれました。最終的な生産枚数は12億7千万枚、生産金額は150億4千万円と平成元年以降では枚数、金額とも低水準の結果となりました。

(有明海研究所のり養殖課)


アワビの放流から漁獲まで

 筑前海域は多くの磯漁場に恵まれ、アワビやサザエ、ウニ等を漁獲する磯漁業が盛んです。このような漁場では積極的にアワビの種苗が放流され、資源の維持増大につとめています。栽培漁業公社で生産され、県内数ヵ所で中間育成されたアワビは、各地区の漁協に配布され殻長3cm以上の大きさで2〜3月に放流されます。平成11年度は新宮相島、大島、藍島、馬島の4ヵ所で中間育成され、生き残りは88〜99%と過去最高を示し、筑前海全体で約50万個の元気なアワビが放流されました。
殻長3cmで放流されたアワビは、漁場にもよりますが一般的に翌年に約6cm、2年後には8cm、3年後に10cmになり漁獲対象サイズに成長します。放流されたアワビが漁獲される割合は約2〜3割あり、漁業者の積極的な資源管理もあって高い放流効果をあげています。放流したアワビは成長しても殻に緑色の部分(グリ−ンマ−ク)が残っており、放流アワビか天然アワビかの区別がつきますので、魚屋さんでアワビを見たときにはこのグリ−ンマ−クを探してみてください。

(研究部浅海増殖課)


筑後川のアユ資源量

 筑後川へは毎春天然アユ稚魚が遡上してきます。内水面研究所では平成10年から筑後大堰下流に標識アユを放流し、漁期中の混獲率からその年の遡上資源量を推定しています。不漁であった10年は約53万尾でしたが、11年は8倍強の431万尾で近年になく遡上が多く、好漁でした。標識アユの漁場別採捕状況から各堰の魚道を稚アユが遡れるかどうかも判ってきました。筑後大堰、恵利堰、山田堰までは遡上できますが、大石堰は困難なようです。
今年は4月10日にアブラビレを切ったした標識アユを放流しました。この3ヵ年の調査で多くの知見が得られると思われます。標識アユの採捕報告について皆様のご協力をお願いします。(連絡先TEL0946-52-3218)

(内水面研究所)


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