なみなみ通信Vol.45


簡易冷却装置導入による漁獲物の生残率向上効果

  豊前海の小型底びき網漁業では、漁獲物はそのまま漁船の生け簀で活かして持ち帰った後に出荷しますが、夏には生け簀内の水温が上昇しすぎて漁獲物が弱るため、活魚よりも商品価値の低い鮮魚として出荷していました。
 そこで、高水温期における小型底びき網漁業の漁獲物の生残率向上を図る目的で、簡易冷却装置(以下「装置」)の開発を行いました。
 豊前海の小型底びき網漁業は個人経営で零細なため、経営を圧迫しないように安価で簡易に製作できる装置の開発を目指し、市販の逆サーモ装置等を用いることで5万円以内で製作することが出来ました(図1)。
 開発した装置について、冷媒に氷水を用い設定温度を18℃と24℃にして試験運転を行ったところ、十分な冷却能力があることが認められました。(図2)



図1 開発した装置の構造図と全景写真



図2 装置の試験運転結果

  実証試験として、実際に装置を小型底びき網漁船に持ち込み(図3)、装置の魚槽部内(冷却区)と漁船生けす内(対照区)で漁獲物の出荷までの生残率を比較しました。その結果、多くの魚種で冷却区の生残率向上効果が認められ、特にクルマエビ、シャコ、シバエビ、スズキでは生残率が90%以上と高いことが分かりました(図4)。
 また、本装置の導入効果を試算すると、小型底びき網漁船一隻あたり約30万円の収入増になると推定されました(平成19年夏季(6〜9月)の統計データによる試算)。
 現在、本装置のモニターを数件の漁家に依頼し、その効果を直に感じて貰う実証試験を行っています。今後、本装置の現場への導入・普及を促進し、実質漁家収入の増加を目指したいと考えています。



図3 小型底びき網漁船に設置した装置



図4 装置を用いた操業試験による魚種別生残率の比較

(豊前海研究所 浅海増殖課)

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