なみなみ通信Vol.46

 

海況情報

 7から9月の表層水温は、筑前海では、沖合域が7月がやや高めで8、9月はかなり高めでした、一方、沿岸域は7月こそ平年並みでしたが、8、9月はやや高めで推移しました。
 有明海の表層水温は7 月はやや高め、8月はかなり高め、9月は甚だ高めでした。豊前海は7、8月は平年並みでしたが、9月は平年に比べてかなり高めでした。


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マダイ幼魚( ジャミ) 資源調査
 平成22 年7月6日(宗像、新宮、奈多海域)及び12 日(唐津湾海域)でマダイ幼魚(ジャミ)資源調査を実施しました。
1 平成22 年のマダイ幼魚(ジャミ)資源について
  マダイ幼魚の平均入網尾数は689 尾で、昨年に続いて過去最高のS56 年に近い値であり、高い水準を維持しています。また、漁獲量も平成元年以降上昇傾向が継続しています。
  

マダイ幼魚( ジャミ) の平均入網尾数とマダイ漁獲量の推移
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2 各海域の入網尾数
  宗像と唐津湾海域で大幅に増加しました。昨年に比べ海域毎の差は減少し、まんべんなく獲れているのが特徴と言えます。
  
 海域別入網尾数の推移
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(研究部 漁業資源課))

養殖カキの食害実態調査について
 本年5月に豊前海のカキ養殖漁業者から、「垂下したばかりのカキの稚貝が白くなって死んでいる。」との情報が寄せられました。稚貝が白化したコレクターを研究所に持ち帰って詳細に観察したところ、魚類による食害の可能性が高いと考えられましたので、無人でインターバル撮影が可能な水中ビデオカメラをカキイカダに設置し、イカダに集まる魚類の様子を観察しました。その結果、クロダイやイシダイがカキをついばんでいる様子が度々撮影され、実際に、それらの魚の胃内容物を調べるとカキが確認されました。
 魚類による養殖カキの食害は、平成12 年頃から広島湾でも報告されており、食害種としてクロダイ、コモンフグ、ウマヅラハギを挙げています。現在のところ、豊前海では局所的で、しかも、カキの小さな時期のみにみられる現象であるため、被害程度はわずかなものとなっています。しかし、主な食害種であるクロダイの漁獲量が増加傾向にあることから、今後、引き続き注視していきます。



カキを捕食する魚類(クロダイ)

 
食害を受けた種カキ
 
撮影に用いた水中ビデオカメラ
 
クロダイの胃内容物
(主にマガキとムラサキイガイ)

(豊前海研究所)
藻場の回復に向けて
 近年、筑前海の一部の区域において、ガンガゼ類やムラサキウニといったウニ類が大量に発生し、海藻が食べ尽くされてしまっている場所があります。これらのウニ類の摂食によって海藻がなくなり、岩肌が露出している場所も局所的に見られるようになってきました。このような場所では、海藻を餌としているアワビやサザエ等も生息しづらくなります。
 そこで、減ってしまった藻場を回復させることを目的に、今年度から「環境・生態系保全活動支援事業」が筑前海の糸島地区から北九州地区までの広い範囲でスタートしました。この事業は漁業者自らが藻場を回復させようという取り組みです。ウニ類の密度を減少させて藻場の回復を図る「ウニ除去」は全ての地先で行っています。また、成熟した海藻を投入設置することで海藻のタネを供給させる「母藻の投入」や、ウニ類の侵入を物理的に防ぐ「ウニハードルの設置」を実施しているところもあります。
 水産海洋技術センターは、藻場の現状やウニ除去等の効果を把握するため、定期的に地先毎の藻場調査を行っています。また、母藻を適切な時期に投入設置できるよう天然海藻の成熟状況を調査したり、ウニハードルを設置する際の技術指導も併せて行っています。今後も調査を継続し、得られた情報を活動関係者に提供することによって、効率的な藻場の回復に取り組んでいきたいと考えています。



ガンガゼ類の除去作業風景

 
ウニハードルの設置例
  

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