なみなみ通信Vol.47


福岡湾のベントス群集から見た底質環境の現状と
変化に関する研究

 福岡湾は、筑前海の様々な魚介類の漁場や生育場として非常に重要な海域ですが、過去には沿岸都市部からの有機物負荷に伴う底質環境の悪化が認められました。しかし、その後の排水施設の整備や覆砂事業等の対策を実施したことで、近年では福岡湾の環境はかなり改善されたと言われています。
海底の砂や泥に棲む底生生物(ベントス:図1)の量や種類は、底質環境の影響を強く受けますが、これらの生物は様々な魚介類の餌にもなることから、ベントス群集は海域の漁場価値を計る上で重要な物差しになります。
 当センターでは、福岡湾全域のベントスと底質の調査(図2)を季節ごとに実施し、その結果を過去のデータと比較することで、漁業の側面から見た福岡湾の環境の現状と変化を把握する研究を行っています。
 その結果、現在福岡湾のベントス群集は、年間を通じて相当量が生息し、特に環境の悪化しやすい夏季においてもかなりの密度で生存していることが確認され(図3)、1990 年代の水準よりも健全化していることが分かりました。
 今後は、覆砂等の施策の効果について、漁業対象種を含む多様な生物の生息環境保全の観点から、検証を行っていきます。

 
(ホトトギスガイ)


(ゴカイの仲間)
図1 代表的なベントス(底生生物)


図2 採泥器と調査の様子


図3 ベントス密度の季節変化

(研究部 海洋環境課)

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