なみなみ通信Vol.49

 


海況情報

 表層水温は、筑前海では沖合域、沿岸域ともに4、5月は平年並からやや低め6月はやや低めからかなり低めでした。有明海は、5月は平年に比べてやや低めでしたが4月と6月は平年並みでした。豊前海の表層水温は4月はかなり低めでしたが5月はやや高め、6月は平年に比べて-2.1℃と甚だ低めでした。
   
 筑前海沖合域の表層水温  筑前海沿岸域の表層水温
   
 有明海の表層水温  豊前海の表層水温


フトモズクの養殖生産状況
 筑前海におけるフトモズク(地方名 そうめんのり)は、平成21年から本格的な養殖が開始され、年々生産量を増やしています。23年漁期は、芥屋、野北、深江、西浦、奈多、志賀島、大島、地島で養殖が行われ、生産量( 暫定値)は前年を大きく上回る13.3トンでした。 今後は、生産の安定化や省力化技術の導入を進めるとともに、販路の開拓に取り組んでいく必要があります。
 
   
養殖施設(芥屋) 収穫時の藻体(芥屋)
 
 
   
 
収穫作業 養殖フトモズク生産量の推移(研究部 応用技術課)
 
 
 有明海産カキの復活を目指して
 
 福岡県のカキといえば、豊前海一粒かき、福岡市西部や糸島地区のかき小屋がすっかり有名になり、生産も販売も横綱か大関の風格ですが、実は、福岡県で最もかき養殖の歴史が古いのは有明海です。
 のり養殖が盛んになる昭和30年代後期まで、有明海では地まき式によるかき養殖が盛んに行われていました。残念ながら、収穫の不安定さと価格の安さで次第にのり養殖に移行し、時に大発生するも、支柱が立てにくいなどの理由で邪魔者にされたりする少し悲しい存在でした。ところが平成12年のノリ不作以来、二枚貝が持つ浄化能力が注目され、有明海区でも赤潮対策や冬季の漁業として養殖の研究が行われています。
 有明海区の最大のウリは、筑前海区や豊前海区で養殖されているマガキではなく、シカメガキとスミノエガキという特産種が対象であることです。調査の結果、有明海での分布も明らかになり、これから種苗の確保と養殖方法の確立に向けて本格的な調査を開始したところです。
 筑前海・豊前海のマガキ、イワガキと合わせて、ニューヨークのお洒落なオイスターバーのようにカキの食べ比べを楽しんでもらえるよう、この研究を進めて参ります。
 
 
有明海の干潟で実施中の養殖試験 福岡県産カキ3種
 (どの種類も個性が光る旨さです!)
参考:マガキ(豊前海産) 
 
 抱卵ガザミの保護活動の取り組み
 
 豊前海のガザミは、全国有数の漁獲量を誇っており、豊前本ガニとしてブランド化されています。しかし、年ごとに好・不漁の差が大きく、漁獲量を安定させることが課題となっていました。そこで、地元漁業者は、ガザミ資源の維持・増大を図るために、卵を抱いている親ガニを保護して稚ガニを増やそうと、平成16年から抱卵ガザミの再放流に取り組んでいます。再放流する抱卵ガザミの甲羅には「トルナ」とマジックで記入して、再び漁獲された場合の再放流を促しています。
 当初は漁協青壮年協議会の活動として2,000尾の放流から始まった取組でしたが、その後は市町による支援も加わり、現在は豊前海全体で年間12,000尾の再放流を行っています。
 減少傾向であったガザミ漁獲量は、平成15年度の127トンから上昇に転じ、最近は、250トンと高位で安定するようになり、保護活動の効果が現れていると考えられます。
 研究所では、豊前本ガニのブランド化に関して、品質の統一基準作りや高品質のガザミの蓄養技術の開発を行っており、これらの技術開発を進めることで、豊前本ガニのブランド化を推進して付加価値向上を図るとともに、ガザミ資源の安定化を目指しています。
 
 
     
 
 「トルナ」と甲に書いた抱卵ガザミ 豊前海のガザミ漁獲量
 
 
 
  抱卵ガザミの再放流
(豊前海研究所 浅海増殖課)
 
 
 ハスの効果的駆除方法
 
  ハスは琵琶湖と福井県の三方五湖に生息していた在来種ですが、琵琶湖産アユの放流種苗等に混じって全国各地に生息分布を拡げたと言われており、近年では本県の河川でも多く見かけるようになってきました。この魚はコイ科のオイカワの近縁種ですが、オイカワと異なり成長に伴い魚食性が強くなり30cm以上にまで成長します。特に遡上時期の稚アユへの食害影響が懸念されることからこれまでも漁業者による駆除が実施されてきましたが、遊泳力が強く行動範囲が広いため、効率よく採捕できていませんでした。
 この問題を解決するため、これまでの生態調査の中で発見したハスの産卵場で投網による採捕調査を行った結果、産卵期に当たる6〜8月の3ヶ月間に産卵場では、他の時期や産卵場以外に比べ採捕効率に10倍以上の差が見られました。 一方、ハスの産卵場では漁業対象種として重要なオイカワも産卵を行っており、投網ではオイカワも混獲してしまう問題があります。そこでオイカワを逃がしハスのみ選択的に採捕する方法を検討した結果、目合い7節の刺し網でハスのみを効率よく採捕することがわかりました。
 今後はハス産卵場の調査を継続することで効果的な駆除ポイントを把握し、その情報を今回得られた駆除方法とあわせて漁業者の皆さんに普及していきます。 
 
 
 ハスに食べられたアユ
 
 
 
 

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