なみなみ通信Vol.49


マガキの地種採苗技術開発

 現在、「豊前海一粒かき」の養殖種苗(種ガキが付着したホタテ貝殻)は、他の産地と同様に宮城県産(種苗の全国シェア:約8割)のものを使用していますが、3月11日に発生した東日本大震災で東北地方沿岸が甚大な被害を受けたため、場合によっては今後の種苗確保が困難になることが予想されます。
 このため、各地で種苗を地元の海域で確保する地種採苗の取り組みが進んでいます。豊前海においても、本年度より漁業者は地種採苗に取り組んでいます。研究所では、「他の海域に依存しない自立したかき養殖の確立」を目的として採苗試験を実施し、地種でも十分生産につながることを確認しています。
 具体的には豊前海ではカキの産卵は海水温が約22℃に達する6 月初旬頃に始まり、それが9月にかけて繰り返し行われることがわかりました。卵はふ化後2〜3週間の浮遊幼生期を経て付着稚貝になりますが、浮遊幼生は7月頃に最も多く出現していました。また、幼生は天候( 降雨・時化等) の影響を受けやすく、短期間での消長が激しいことも分かりました。
 地種の採苗は浮遊幼生が多く出現したときに、かき養殖筏の縁に採苗連を垂下して行いますが、採苗が可能な時期が年によって違うことや、競合種のフジツボが多く出現して採苗に適さない時期があるなど、あらかじめ採苗試験を行って適否を確認することが重要だと分かりました。
 地種の種苗価値を確認するため、既存種苗(宮城・広島)と成育状況を比較したところ、既存種苗と同様に成長することが確かめられました。
 研究所では、このような成果を踏まえながら、本年度の漁業者による地種種苗への取り組みについて、採苗後の抑制管理を含め技術指導に取り組んでいきます。


 
 
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