なみなみ通信Vol.5

調査情報

海況情報

 5月の水温は平年値より低め、特に豊前海ではかなり低めでした。6月上旬は平年並かやや低めで推移しています。

(研究部海洋環境課、有明海研究所のり養殖課、豊前海研究所漁業資源課)


順調に育っている種苗

 福岡県栽培漁業公社では、現在6種類の種苗を生産しております。また、この他にトラフグ、ナマコ、フトモズク等の試験生産に取り組んでおります。
平成12年度からは漁業者の方の要望に応え、アワビとアカウニの大型種苗を新しく生産することになりました。
 アワビは近年「筋萎縮症」という病気に悩まされてきましたが、平成10年度から紫外線消毒した海水を使うことで防ぐことができるようになり、健全な種苗を生産しています。

(栽培漁業公社)


尾肢カットしたクルマエビの放流

 有明海に接する4県(福岡,佐賀,熊本,長崎)は、平成6年からクルマエビの種苗放流に共同して取り組んでいます。湾奥部で放流した40mmサイズの標識エビは、湾中央部で100mmを超えるサイズに成長して漁獲されることから、「有明海のクルマエビは湾奥部で幼稚仔時代を過ごし、成長に伴って湾中央部や湾口へ移動し産卵する一つの共通資源である」と考えられます。
 今年は、6月下旬に一般的な放流サイズである小型の30mmサイズの種苗100万尾に尾肢カットして放流しました。カットした尾肢は、成長に伴って再生しますが、その模様や形状などは左右異なっています。この標識エビの調査結果が放流サイズを検討したり、成長・移動などの生態の把握、再捕率などを調べる貴重な資料となります。標識エビが捕れたときは有明海研究所(TEL:0944-72-5338)へご連絡下さい。

(有明海研究所資源増殖課)


ヨシエビの移動生態を解明

 豊前海ではクルマエビのほかにヨシエビ、クマエビ、トラエビなどいろいろな種類のエビが生息しています。その中で現在調査をしているヨシエビの生態を紹介します。
 「ヨシエビ」とは聞き慣れないエビですが、豊前海ではキノコ、ガスエビと呼ばれているエビです。クルマエビのような縞模様はありませんが、うすい肌色をして、ざらざらした殻をしているのが特徴です。また生息場所も砂底を好むクルマエビとは違い泥底が好きなエビです。豊前海はほとんどが泥底なので、ヨシエビにとっては絶好の生息地となっています。
 ヨシエビの寿命は1年から2年です。6月から8月にかけて卵を持った親エビは、沿岸の干潟近くまでやってきて産卵します。卵は孵化してノープリウス、ゾエア、ミシス期と変態を続け、海中を漂う浮遊生活を送ります。そしてポストラーバ期になると親と同じエビの形になりに、泥のあるか広域で着底生活を始めます。そこで5cm近くになるまで成長した後、河口から沖へと徐々に移動していきますが、ヨシエビの移動は少なく、5cm程度の幼エビの移動先を調査すると、6ヵ月たってもそのほとんどが放流場所から10kmも離れていない場所にいるのが確認されました。豊前海のヨシエビは、沿岸で生まれて大きくなると底引き網、定置網により漁獲されて私たちの食卓へと運ばれています。

(豊前海研究所漁業資源課)


マアジの漁獲状況

 マアジの盛漁期は例年5月で、主に小型アジを漁獲していますが、今年5月の漁獲量は393トンで昨年同様少なく、魚体はゼンゴ(15〜20cm)が主体で、これらは昨年生まれ群です。マアジが主に漁獲される水温帯は17℃〜22℃ですが、今年5月の水温は15.3℃で平年を下回っており、マアジの来遊が遅れていると考えられます。
 現在の状況では、漁獲量は前年並みと考えられますが、6月以降の水温上昇によっては、漁獲が増加する可能性もあり、今後の漁況・海況の動向を注視する必要があります。

(研究部漁業資源課)


海藻の減少にストップ!

 藻場はアワビやサザエなどの餌場として、また魚類の産卵場、稚仔魚の成育場所として重要な役割を果たしています。今、“磯焼け”現象が全国的に大きな問題となっていますが、本県の筑前海地先でも、全体的に藻場は減少しており、一部地先では貧海藻帯も認められていることから、積極的な海藻群落の回復策が緊急な課題となっています。そこで、海藻の減少をくい止めるため漁業者の方ができることをあげてみます。
 まず、ウニ漁でひっくり返した石は必ずもとの状態に戻しましょう。放置しておけば、せっかく石の表面についた海藻がつぶされてほとんど枯れてしまいます。次に、海藻が少ない状態が続く要因として、身入りの悪いウニ(特にムラサキウニ)を漁獲せず放置していることがあげられます。このような漁場では、海藻が少ないため身入りが悪く、漁獲しないことでウニの生息密度が高くなり、海藻の新芽を食べ尽くすため海藻が生えなくなる状態が続きます。このような漁場に高密度で生息するムラサキウニは、海藻の多い漁場に移植するか、ウニかぎでつぶして駆除しましょう。これらの作業を行うことにより、海藻が着生しやすい基盤ができあがります。漁業者が毎年磯焼け地帯に生息するムラサキウニをスキュ−バ潜水で駆除してきた結果、海藻が生えてきたという他県での事例もあります。

(研究部浅海増殖課)


Vol.5 Topへ