なみなみ通信Vol.50


浮泥防除型覆砂によるタイラギ増殖試験

 有明海の沖合でタイラギを漁獲する潜水器漁業は、冬季の重要な漁業です。近年は、タイラギの大量斃死が起きるなど資源の変動が激しい状況が続いているため、タイラギを安定して漁獲できる増殖手法が求められています。覆砂による環境改善は有効な手段の一つですが、沖合域では浮泥の堆積が課題の一つとされています。そこで、浮泥の堆積が少ない自然の傾斜域である「峰の洲」で平成21,22年に覆砂試験を実施し、タイラギの生息や、浮泥の堆積状況を調査することにより増殖効果の検討を行いました。
 「峰の洲」の斜面部で平にならした覆砂(以下斜面覆砂区)及びサルボウ殻散布区(図1、図2)を、頂上部で山型に盛り上げた覆砂( 以下山形覆砂区)を造成し、タイラギの生息量を調べました。その結果、斜面覆砂区では、タイラギ稚貝の生息密度が対照区の約5倍となり(図3)、潜水器による試験操業では一日の推定漁獲量が貝柱重量で9.2kg と操業可能な状況が確認されました。
 さらに、浮泥の堆積は、山型覆砂区、斜面覆砂区では少なく、概ね10o以下で推移し、良好な環境を維持していました(図4)。
 これらのことから、斜面覆砂はタイラギの増殖促進に有効であることが示唆されました。今後も定期的な調査を行い、効果の持続性を明らかにし、今後の事業展開へつなげていきます。


 
図1 漁場改善手法実施場所  図2 峰の洲漁場改善手法模式図 
 
 図3 峰の洲漁場のタイラギ生息密度の推移
 
図4 峰の洲漁場浮泥堆積厚の推移
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