なみなみ通信Vol.51

 


海況情報

 7から9月の表層水温は、筑前海では、沖合域が7、8月は平年並み、9月はやや低めからかなり低めで推移しました。一方、沿岸域は7,8,9月全て平年並みでした。
 有明海の表層水温は7 月はやや高め、8、9月は平年並みでした。また、豊前海は7、8月は平年並みでしたが、9月は平年に比べてやや低めでした。
   
 筑前海沖合域の表層水温  筑前海沿岸域の表層水温
   
 有明海の表層水温  豊前海の表層水温


有明海ノリ養殖概況(採苗〜秋芽網生産期まで)
  今年度のノリ養殖は10 月14 日から採苗が開始されました。当日はかなりまとまった雨が降り、更には強い南風が吹くといった最近にはない悪天候でした。そのため、ノリの種が育っているカキ殻やそれを入れる袋(落下傘)が無くなったり、ノリの種付きが悪かったりといった事態が一部で発生しました。
 育苗期から生産期にかけて、水温は平年より2℃前後も高い日が続き、頻繁な降雨によって比重が低めで推移したため、健全度の低いノリ芽が多く見られました。更には、あかぐされ病も近年になく急速に拡大し、11月21 日頃から生産不能な網が多く見られるようになったため、12 月14 日に秋芽網生産を終了しました。今年度の秋芽網生産は、高水温と多雨のため、質・量ともここ数年の中では最も悪いものとなり、平成15 年度以来の不作となりました。秋芽網生産結果は下表のとおりです。
 12 月20 日から冷凍網生産が始まりました。漁業者の皆さん、みんなで力を合わせて秋芽網生産の不作を挽回しましょう!
 (有明海研究所)
 
 平成23 年度『豊前海一粒かき』の生産状況
 本海区の主漁場である人工島(北九州空港)周辺漁場における成育状況は、平年と比較して良好で、へい死も少なめに推移しました。これは、8〜 10 月にかけての水温が低めで、赤潮や貧酸素水塊の発生がなく、カキにとってストレスの少ない状況であったためではないかと推察されます。
 一方、苅田南港以南の漁場では、垂下初期の4〜5月にかけて、クロダイ等による食害が発生し、付着数が平年と比較して半分以下となったイカダもみられました。食害対策については、昨年度水中ビデオで撮影しましたが、今後はより詳細に食害状況を観察しつつ、対策試験にも取り組んでいきます。
 また、9月10 日には北九州市保健所から講師を招いて衛生講習会を実施し、消費者により安全で美味しい「豊前海一粒かき」を提供できるようカキ生産者の知識向上に努めました。
 研究所では、今後とも「豊前海一粒かき」の安定生産に向けた取り組みを実施していきます。
 ●人工島周辺漁場の観測データ
 
 (豊前海研究所)
 
 エツ種苗の初期餌料選択性の検討
 
 下筑後川漁業協同組合では、エツ資源増殖のため種苗を生産し漁場に放流しています。
エツの種苗生産では初期餌料にワムシ(動物プランクトン)、次にアルテミア(甲殻類の幼生)を与えていますが、この切り替え時期がその後の種苗の生残率や成長に大きく影響します。そこで、餌料の切り替え時期の基準を明らかにするため、エツ種苗が成長に合わせてどちらの餌を好んで食べるかを調べました。その結果、エツ種苗は体長6mm 前後(ふ化後6 日目頃)からワムシを捕食し始めたのち、8mm 前後(ふ化後約7 日目頃)までは主にワムシを捕食するが、その後は成長に伴いアルテミアを捕食するようになること、さらに体長10mm を超える時期(ふ化後10 日目頃)になるとほとんどの個体がアルテミアを捕食し、ワムシを捕食する割合も少なくなることがわかりました。
 これらの結果から、体長10mm を超える時期にワムシ主体からアルテミア主体の餌料に移行することでエツ種苗生産における成長や生残率などの向上に繋がります。さらに、エツ種苗の成長に必要な栄養成分をアルテミア餌料に付着させ給餌することで種苗の活力を向上させる技術開発についても併せて検討を行っています。
   
 体長別ワムシ、アルテミア給餌試験結果 エツ種苗の写真 
 (エツ稚魚の餌料選択制を確認するため、初期のエツ稚魚にワムシとアルテミアを同じ量与え、体長別に胃内容物中のワムシ、アルテミアの数をパーセントで表したもの) 上: 初期のエツ稚魚の写真
 下: 成魚に近い稚魚
 (内水面研究所)
 
Vol.51 Topへ