なみなみ通信Vol.53

 


海況情報

 4〜6月の表層水温は、筑前海の沖合域では、4月にかなり高めで、5月に平年並みとなりましたが、
6月にはやや高めで推移しました。
沿岸域は、5月まで沖合域と同様の傾向で推移しましたが、6月は平年並みとなっています。
 有明海では、4月から6月まで平年並みで推移しました。
 豊前海では、4月はやや低めでしたが、5月は一転してやや高めとなり、平年並みで推移しました。
   
   
   
   


健全な放流種苗を生産
 クルマエビやアワビなどの重要な魚種の増殖を図るため、各海区で種苗放流が行われています。
 種苗は、公益財団法人 ふくおか豊かな海づくり協会(旧 財団法人 福岡県栽培漁業公社)で生産されていますが、その際、最も留意していることは健全な種苗を生産することです。このため、飼育環境を適切に管理するとともに、出荷前の種苗に加え、卵を採る親についても病気の有無を検査するなど、二重の検査体制を整えています。
 6月に、協会から各海区へ配布されるクルマエビ種苗を3度にわたって検査しましたが、いずれも健全な種苗でした。
 今後とも、協会と連携しながら健全な種苗の生産に取り組んでいきます。
 
順調に生育したクルマエビ種苗
 (センター研究部)
 
 藻場の保全活動が進む
 
 環境生態系保全活動支援事業を活用し、藻場の保全活動が進められています。海藻が減りつつある漁場において、海藻を餌とするウニ類の除去や母藻投入などが行われています。
 センターでは、春に保全活動が行われた漁場のモニタリング調査を行いました。姫島地先では、ウニ類の除去を継続して行っており、除去した漁場でホンダワラ類が増加するなど活動が実を結びつつあります。
 藻場の減少がいったん進行してしまうと、その回復には多大な努力が必要となります。
 このため、漁業者グループによる保全活動は筑前海の漁業生産力を維持していくためにも極めて重要な取組です。
 センターでは、引き続き漁業者のみなさんと連携し、保全活動の効果把握など技術的な支援に取り組んでいき
ます。
   
 
 (センター研究部)

 「人工アマモ」による有明海の底質改善試験を実施
有明海では、昨年、サルボウがへい死するなど、二枚貝資源が不安定な状況にあります。二枚貝を増やすためには、貝の放流などの増殖策とともに、生息場所の底質の改善に取り組むことが必要です。
 有明海研究所では、底質改善のため、ノリ網にポリエチレンテープを結びつけた「人工アマモ」を作成し、干潟に設置しま
した。
 これにより、足がくるぶしまで沈み込むほどに泥が溜まっていた場所が、周囲に比べ浮泥が少なくなり足が沈み込まなくなりました。
 また、今年の春に漁業者のみなさんと各地先で「人工アマモ」を設置し、底質の改善に取り組んでいるところです。底質の改善により、稚貝が定着し、アサリやサルボウが増えることを期待しながら調査に取り組んでいます。 
 

「人工アマモ」の設置

   

「人工アマモ」を設置した干潟(左)と設置していない干潟(右)
  (有明研究所)

 オオカナダモの分布・駆除調査について
 オオカナダモは本県の湖沼、ため池、河川、水路に普通に見られる水草ですが、南米原産の帰化植物です。
1970 年代頃から全国各地で大繁殖し、在来の水生植物と競合して生態系に影響を与えるおそれがあることから、環境省が要注意外来生物に選定しています。近縁の在来種が冬期に枯れるのに対し、オオカナダモは水底で厚いマット状になって冬を越すことから年々繁殖域を広げ、砂や小砂利に産卵するオイカワやアユなどへの影響が懸念されています。近年、本県においてもオイカワの産卵場に繁殖している状況が確認されました。
 そこで、内水面研究所では、昨年よりオオカナダモの分布調査を行っています。
 調査の結果、3水域7河川36カ所のうち、22カ所でオオカナダモを確認しました。このうち約半分の場所では、オオカナダモが河床の半分以上を覆う状況でした。さらに、オオカナダモが多くみられた沖端川と巨瀬川では、河床1uあたり2〜8kg となりました。
 内水面研究では今後もオオカナダモの繁殖状況を調査して魚類の繁殖、特に産卵への影響等を評価するとともに、オオカナダモの効率的な駆除方法を検討していきます。 
 
オオカナダモの被覆度を調査
 
河床に繁茂したオオカナダモ
 
 (内水面研究所)

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