なみなみ通信Vol.53


新たなアサリの増殖装置について

 豊前海のアサリ漁獲量は、昭和61年の11,000t をピークに急減し、近年は数十トン程度と低水準で推移しています。これまで、アサリ資源の回復を目指して、様々な対策に取り組んできましたが、産業的に回復するような効果は得られていません。
 このような中、以前設置した竹杭を調査した際、偶然にも竹の内部から、数多くのアサリが発見されました。このことは、孟宗竹の構造がアサリにとって好適な環境をもたらしたものと考えられました。
 豊前海研究所では、この状況を人為的に再現するため、塩ビ管を用いたアサリ増殖装置の開発を行っています。
 予備試験では、春に装置内に殻長1mm 弱のアサリ稚貝を投入し、管理を行わずに約2 ヶ月後に回収したところ、梅雨時期の大雨や40℃を超える高温に耐え、極めて高い生残を示しました。さらに、成長も陸上飼育と比較して速く、短期間で10mm に達しました。
 この装置では、稚貝を天然の環境下で育成させるため成長が速く、また、年に数回生産することから、従来よりも低コストで大量にアサリ稚貝を確保することが可能となります。
 今後、装置の構造やサイズを検証するなど実用化に向けた試験に取り組んでいきます。
  
 
開発した装置の概要(左図)と干潟に設置した装置(写真右)


装置内で成長したアサリ(写真左)と試験終了時のアサリ稚貝(写真右)

(豊前海研究所)
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