なみなみ通信Vol.6

調査情報

海況情報

 6から8月の水温は平年なみかやや高めでした。9月上旬の水温は平年より高めで推移しています。

(研究部海洋環境課、有明海研究所のり養殖課、豊前海研究所漁業資源課)


マダイ幼魚の資源

 今年のマダイ幼魚調査によると、1網当たりのマダイ幼魚(ジャミ)の採集尾数は、各地区とも平年を下回る平均50尾程度で平年の1/4〜1/5程度でした(図1)。佐賀県でも本年のマダイ幼魚の採集量は少なく、九州北部海域のマダイの発生量は少ないものと推定されます。
 過去の状況と比較すると、平成5年〜10年は採集尾数が100尾を越え比較的高水準でしたが、昨年、今年と急激に減少しており、平成3年以前の水準にまで低下しています(図2)。昨年、今年とマダイ幼魚が少ないことから、来年度の漁期は立て子、小ダイサイズの漁獲は少ないと予想されます。

(研究部漁業資源課)


有明海のり生産の基本戦略

 昨年は高水温のため10月10日と最も遅い採苗日でしたが、秋芽網生産期も高水温によりあかぐされ病がひどくまん延しました。また、冷凍網生産は色落ちにより1月はじめで終了し、11年度の生産は不作でした。
そこで、平成12年の基本戦略は、1.秋芽網の不作を回避する 2.冷凍網生産期間をできるだけ長くするの2点にしぼられます。
 まず採苗日の設定には、採苗と入庫にあった潮汐よりも、秋芽が確実にとれる潮汐を重視します。病害の危険期は小潮の11月4日頃なので、小潮後に摘採が始まるように、水温の動向に注意しながら採苗日をできるだけ遅らせます。冷凍網の出庫は生産性の高い漁期を有効に利用する観点から、秋芽網の撤去期間を短くして11月末の撤去、12月早々の出庫を考えています。小潮は12月3日なので、この時期が出庫の目安です。

(有明海研究所のり養殖課)


採苗準備風景


海での採苗状況

ミルクイの養殖技術の開発

 ミルクイは寿司ネタなどに用いられる高級な二枚貝です。主に瀬戸内海沿岸砂泥域において潜水器漁業で漁獲されていますが、全国的に漁獲量は少なく高値で取り引きされています。産卵期は冬期で、約3年で漁獲サイズの10cmにまで成長します。
 豊前海研究所では本種の養殖技術開発として、人工採卵による種苗の大量生産技術を開発し、養殖方法の検討など実用化に向けた試験に取り組んでいきます。

(豊前海研究所浅海増殖課)


人工生産されたミルクイ種苗(1年貝)

河川の生産力にあった増殖(室見川)

 研究所では、種苗放流や禁漁設定などの各河川の生産力に合った増殖対策に役立てるため、河川の調査を実施しています。
 室見川は背振山を水源に、福岡市早良区を流下し博多湾に注ぐ2級河川です。支流の小笠木川を含めて漁業権が設定されています。上流には福岡市の水瓶である曲淵ダムがあり、また、河口に近い新道井堰からも水道用水が取水されている典型的な都市型河川です。この新道井堰より下流は海水が混じる場所で、江戸時代からのシロウオやな漁は春の風物詩として有名です。
 調査の結果、全域において水質は良く基礎生産力もありますが、新道井堰は魚介類の降下や遡上にあまり適しておらず、取水による河川水不足が生産力を下げていると思われました。昨年はアユの天然稚魚も多く水況も良かったので、遡上への大きな影響は見られませんでした。今後増殖に力を入れるべき種類としてはヤマメ、オイカワ、モクズガニとなります。

(内水面研究所)

Vol.6 Topへ