=アカナマコの種苗生産技術(安定採卵技術の確立)=

 カナマコはアオナマコに比べ採卵が難しく、生産に必要な卵を安定的に 確保できる技術開発が急務でした。アオナマコの産卵誘発は、採卵前夜から止水飼育し、 5℃昇温した紫外線海水にナマコをつけ込み、暗黒状態にする方法です。しかし同一の 方法ではアカナマコでは放卵しない場合が多く、また、親ナマコを自然水温で養成すると へい死が多いため、安定して大量採卵することが困難でした。そこで、アカナマコが成熟 して夏眠に移行するまでの期間に、水温13〜16℃で、親ナマコを恒温飼育し、自然放卵を 制御し、また親のへい死も防ぐことができるのではと考えました。
 また、過去の知見から採卵用の親ナマコは400g以上の大型のものが必要とされています が、毎年、時化の多い早春に確保することが難しいため、前年度、採卵に用いた親ナマコの 再利用を試みました。

研究の成果

 3月に捕獲してきた親ナマコを恒温飼育することで、4月末〜6月初旬に安定的に 大量採卵できるようになりました。
 また、前年に採卵に使用した親ナマコをほとんど手をかけずに飼育して、翌年、 再度、採卵することができました。この採卵法は初めての試みです!

=マナマコの中間育成技術大躍進=

 ナマコは冬場の漁業資源として非常に重要であり、種苗放流による資源増殖が 望まれています。しかし、放流用種苗を生産する段階(中間育成)では、成長不良や大量へい死が 発生するなど、生産が不安定でした。
 この原因は餌である付着珪藻の不足にあると考えました。ナマコは紫外線に弱いため、 通常は遮光して飼育していましたが、今年の試験飼育では直射日光下で飼育し、付着珪藻を 十分に繁殖させました。

研究の成果

 5〜6ヵ月の中間育成の結果、従来型の飼育方法に比べて次のように技術が進歩しました。

・飼育密度は約3倍の6,000〜8,000尾/uが可能
・30mm以上の個体の割合は3割から6割へ倍増
・無投餌飼育で十分成長する

直射日光というリスクを敢えて冒すことで、それを上回る成果が得られ、ナマコの資源増殖に 「光」がもたらされました。

(研究部・豊前海研究所)



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